ドーナッツ

フランクおじさんのドーナッツのレビュー・感想・評価

フランクおじさん(2020年製作の映画)
5.0
「アメリカン・ビューティー」でアカデミー賞脚本賞を受賞したアラン・ボールが監督と脚本を手がけた作品。
最高だった。また観たい。

時は1973年。田舎町で育ったベスは、親戚の集まりで会えるNYに住む知的でユーモア溢れるフランクおじさんを尊敬していたが、同時に祖父の彼に対する露骨で蔑ろな扱いに疑問を抱いていた。
その後、フランクおじさんへの憧れもあり進学したNY大学で偶然にも彼に出会い、彼の隠された秘密を知っていく。

この映画の不思議なところは、ベス目線の語りで進行されているのに、いつのまにかフランクおじさん目線になっていること。
この切り替えが自然だったので、感情移入も違和感なくできたと思う。さすがアラン・ボール…

「どんな自分になるかは他人ではなく自分で決めるんだ」
自分の信念と向き合いつつ、他人との関係や距離も保ってきた彼だからこそ言えたセリフであり、最も強く印象に残った。

ラストで賛否が分かれているようだが、自分は賛。
もしかしたら形だけかもしれない。しかし、たった1人の存在の有無で状況は一変し、今まで実現しなかったことが実現した。たとえ小さな一歩でもきっかけになり変わっていく。それをどう受け止めて、受け入れていくかは自分次第。

ベーコンが苦手なウォーリーが音楽をかけなおすことをきっかけにさりげなく席をずらしていたのが紳士的でいいなと思った。表情は明らかに嫌な顔してたけど笑ってたし。

「アメリカン・ビューティー」も好きな作品なのでまた観たくなった。

ソフィア・リリスは「ノット・オーケー」の繊細かつ大胆な演技に魅了されたが、今作ではより繊細さが際立っていてよかったな。