BROOK

キネマの神様のBROOKのレビュー・感想・評価

キネマの神様(2021年製作の映画)
4.0
鑑賞日:2021年8月8日
パンフレット:900円


キネマの神様に、願いよ、届け・・・


原作未読。
原作とは全く異なるとの批判レビューが結構あるけど、原作者の原田マハさんは脚本に参加してるんですよね。
原作者も納得しているストーリーだと思いますが…。


実のところ、山田洋次監督作品は全く観たことがなく、今作もスルーしようと思っていたのですが…
Twitterの”#キネマで繋がる”キャンペーンでムビチケが当たったので鑑賞した次第。

結果…観てホント良かったー!!
映画好きなら観て損はないと思う。


キャスト陣の演技が素晴らしく…
新型コロナで亡くなった志村けんさんの代役となった沢田研二さんの演技は良かったです。
それでも、志村さんの演技が観たかった…半分は撮り終えていたそうなので、本当に残念でなりません。

個人的には往年の銀幕女優の桂園子を演じた北川景子さんが印象的。
たしかに昭和のスターって皆さんお綺麗ですもんね。
って、今の女優さんももちろん綺麗ですが♪



映画は、ラグビーW杯で雑誌「キネマの友」編集部内が盛り上がっているシーンから始まります。

契約社員の歩のもとに闇金から連絡が入り、父親の借金返済が滞っているというもので…

家にまで闇金業者が押しかけてきて、歩は自分のお金をとりあえず渡し、帰ってもらう。

その後、酒と博打好きな父の郷直が帰宅し、歩は闇金のことで怒り心頭。
母の淑子は気弱なため、なかなか夫に言い出せず。


これからは映画でも観るように告げ、年金と働いたお金を管理しているキャッシュカードを置いていくように言い放つ歩。


郷直は親友のテラシンが経営しているテアトル銀幕へと向かう。
そこでは昭和の映画が上映されることになっており、郷直とテラシンは女優の桂園子が主演の「花筏」を観ることに。

郷直はその作品にスタッフとして参加しており、かつて松竹撮影所で働いていたことを思い出すのだった…。


主演だった志村けんさんが亡くなり、新型コロナの影響で、おそらく脚本が大幅に変更になりつつも、完成にこぎつけた山田監督に拍手ですね。

展開は、現在の郷直と、撮影所で働いていたゴウのエピソードを交互に見せていくような感じ。
決して分かりにくいとかは無いので大丈夫。

撮影所時代のシーンは、いろいろと勉強になるというか…
昔はこうやって撮影していたんだなぁ…と。

ちなみにVFX監修に山崎貴さんが入っています。


ゴウと淑子とテラシンのエピソードが上手く織り込まれていました。
そして、園子のキャラクター性は昭和のスターそのものなのでしょうね。


現代に戻ってからのストーリーは”伏線”の回収が上手く…
園子の腕時計やゴウが書いた脚本の展開が良かった!

出来れば現在の桂園子が見たかった…
折角、淑子は腕時計をまだ持っているのに…と。
でも、それだと蛇足になっちゃうのかなぁ…。

ゴウの書いた脚本はちょっと「今夜、ロマンス劇場で」っぽい(苦笑)


終わってみれば、笑えて泣ける素敵な作品でした。
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