あかの

キネマの神様のあかののレビュー・感想・評価

キネマの神様(2021年製作の映画)
3.0
現在のコロナ禍に於ける映画界の窮状というタイムリーなネタは、些か取って付けたように感じられたが、松竹映画100周年記念作品であり、志村けんのコロナによる急逝を鑑みれば、盛り込みたかった気持ちも良く分かる。
この件も含めて、現代パートと過去パートの繋がりが弱く、全体的に纏りが悪く感じられたのが残念。
ゴウは周囲の人間に恵まれていたからこそ、それなりに幸せな人生を送ることができたのかもしれないが、もし夢を諦めていなかったらという思いはどうしても拭えない。
現代と過去を繋ぐ時間が見えぬが故に、ゴウに対する共感が生まれ難く、だからこそ、もし志村けんが演じていたらどうなっていただろうかとつい考えてしまう。取り立てて沢田研二が悪い訳ではないが、志村けん本人が持つ愛嬌が加わっていれば、もっとゴウに対して共感をすることができたかもしれない。
ラストの志村けんへの献辞が最大の泣かせポイントなのは間違いない。
個人的に若き日のテラシンを演じた野田洋次郎がとても良かった。エールの木枯役でも思ったが、古い昭和の時代に置くと何故か妙に嵌まる。
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