autumn

ドクター・デスの遺産-BLACK FILE-のautumnのレビュー・感想・評価

3.5
〝安楽死″
日本では積極的安楽死や自死介助は認められていないし、もし行えば、殺人罪や自殺幇助罪に問われる。
でも海外ではオランダ、ベルギー、ルクセンブルク、スイス、カナダ、アメリカの一部では認められていて(違ってたらすみません)、安楽死に対する考え方は様々。

私が看護学生だった頃、ちょうど安楽死についての授業のときに日本の女性がスイスで安楽死を迎えるという番組をみて意見を言いあうという授業があった。
それまでは安楽死なんてあり得ない、殺人じゃん、って思ってたのがこの番組をみて少し考えさせられたのをすごく覚えてる。
自分の身体を自分で動かせない、機械だけじゃなく家族、他人の力を借りないと生きてすらいれない。食事、排泄、清潔の一つひとつが自分でできなくなったとき、そしてできなくなることが分かってしまった時、人は安らかに眠りたいと思うのかもしれない。
それを自分の大切な人が心から望んでいることがわかった時、私は全力で阻止できるかと言われたら即答できないと思った。
医療現場を少しながら知っている身であるからこそ、医療には限界があって医療者は神様ではないことを日々感じされられる。
ちょうど小児科で働いているため、犬養の娘の気持ちを聞いて涙が止まらなかった。
看護師がちょっとまってねって忙しそうに働いているシーンをみて私もこうして子どものサインを見逃してしまっているのかもしれないって怖くなった。

犬養の子どもに見せる必死な顔も普段の愛おしそうにみせる笑顔もすごく素敵で綾野剛さんはすごいなと思った。

雛森にもきっと看護師として働いていて過去に色々あったのだろうと勝手に想像してしまった。日々もがき苦しんでいる人を見て、人が死んでいく姿に慣れてしまって、どこかで何かが壊れてしまったのだろうと。
でも途中から雛森はただの誘導殺人者に変わっていて、あれは紛れもない犯罪だと思う。

でも世の中には本人の意思で尚且つ家族も理解した上で安らかな死を望む人もいるのも事実。
でもそれを利用して他人がどうこう介入するものでは断じて無いと思う。
雛森を演じる木村佳乃さんの怪演技はすごかった。あの二面性というか、闇の見せ方というか、見てて恐怖だったしさすがだなと思った。(イッテQにでてる同じ人とは思えない笑)

尊厳死についてすごく考えさせられる作品だった。
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