空海花

チィファの手紙の空海花のレビュー・感想・評価

チィファの手紙(2018年製作の映画)
3.8
中国版 岩井俊二監督「ラストレター」

日本版「ラストレター」から期間が少し空いているので、もしかしたら思い出せないところもある。
初恋の想い出にして最後の手紙。
こちらは「ニーハオ、チィファ」

深みのある弦楽器が木霊する美しい仕立て。
オープニングは少し不安定さのある旋律と休符が、時の感覚を揺らめかせる。
劇場の外の寒さが深まりつつある時期に
冬の曇天の景色が観る心に映えた。
灰色がかった空気の中でも岩井俊二を思い出させる淡い光が眩しい。

ストーリーはある程度わかっているぶん
当初少しつっこみたかった部分が抑えられたのが良かったのか、
日本版はキャストの名前が先に入ってきてしまったからなのか
ストーリーには入り込めた気がする。
小説家のイン・チュアンの視点と
主人公チィファと、少女時代の視点が交錯していく。

日本版とは違うところがあって、そこで少し泣いた。
中国版を先に撮ったなら、日本版にも入れてくれた方が良かった気もするのだけれど、
描きたかったところを考えると理解できるし、どちらが良いとは言い難い。
ただ2匹のボルゾイ犬はより活きる気がする。
ただ既視感漂う夏の景色は日本版が圧倒的に好きだ。

森七菜ちゃんの歌も悪くはないと思ったが
このエンディング曲の余韻は今も頭を離れず繰り返している。
ノスタルジックな想いが溢れてくる、胸が締めつけられるような美しい音だ。


劇場鑑賞No.107/total145


今回、観客のおじさんやおじいちゃんが所々クスクス笑っていて、とてもほっこりした雰囲気の中鑑賞😌🍵


ノスタルジーに負けてコメント欄にネタバレとツッコミを🙇
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