さうすぽー

泣きたい私は猫をかぶるのさうすぽーのレビュー・感想・評価

泣きたい私は猫をかぶる(2020年製作の映画)
4.1
自己満足点 81点

劇場で観たかったな、これは!

「ペンギン・ハイウェイ」のスタジオ・コロリドが、岡田麿里を脚本に迎えて製作されたアニメ映画。

既にご存知な方も多いと思いますが、この映画は元々6月5日の公開予定だったものの、昨今の新型コロナによる自粛の関係で延期になってしまってました。公開の目処が経たない中、公開の権利をNetflixに売り渡したことでNetflix独占配信という形での公開になりました。


さて肝心の感想ですが、
これは結構好きでした!(*^^*)

まぁ、猫とヨルシカが凄く好きな自分にとってはかなり美味しいので完全に自分好みでした(笑)

自分は「さよならの朝に約束の花をかざろう」は大好きだけど、昨年の「空の青さを知る人よ」は好きじゃないです。
と言ったように、岡田麿里脚本の作品は個人的に当たり外れが激しいのですが、この映画は、"当たり"でした!

確かに問題も少なからずありますが、鑑賞を終えた後の満足感は大きかったです。


無限大謎人間を略して"ムゲ"と言われてる変わり者の女の子と賢人という男の子との恋愛模様がファンタジーを通して描かれてますが、二人の関係性が好きでした。

普段賢人はムゲに素っ気なく接しているものの、ムゲが猫になっている時は素直な気持ちを話すので、ムゲは段々と賢人の本音や秘密が解ってきます。
ムゲも同様に猫になった自分を通じて距離を縮めようとしたり、賢人の心の支えになりたくて行動します。
二人のそんなやり取りがたまらなく愛おしいです。

また、賢人に会いに行くために「猫」に化ける話ですが、猫にしたのが正解だったと思います。
猫は人間に対してツンデレだったり甘え上手な所があります。そういった猫の性質を通して描かれる人間模様が良かったです。

作画も良かったです。
特に猫のデザインがリアルで可愛いものになっているので、愛くるしさと妖しさの二面性も良かったです。
背景デザインも実在の街を再現していて良かったです。
何か、この映画を観てようやくあの気持ち悪かった「キャッツ」の呪縛から解放された気分です(笑)

後半のストーリー展開に関しては賛否あると思います。というのも内容が殆ど「猫の恩返し」に近いからかな?
でも自分は「猫の恩返し」より全然良かったです。
あの映画が嫌いだったところは、主人公が猫にされてしまった時に物凄く悲劇的になるのですが、主人公の心情が薄すぎて全然理解出来なかったからです。
しかし、この映画はちゃんとムゲの心の変化が丁寧に描かれるので、ちゃんと行動を理解することが出来ます。

自分、主題歌を担当したヨルシカが凄く好きなんです。
曲と歌詞の世界観にダイレクトにはまっているのですが、劇中でかかった3曲ともこの映画の世界観に非常に合っていた気がします。

ただ、キャラクターに関しては良くも悪くも岡田麿里らしさとスタジオコロリドらしさが出てる気がします。
特にムゲのキャラクター性が一番賛否割れるところだと思います。個人的には好きな方なのですが、最初の方で見られる突飛で奇怪な行動にはわりと引きました(^_^;)
変わり者に描きたかったのは何となく解りますが、流石にやり過ぎな気がします(笑)

あと、劇中で山寺宏一が演じた猫店主なのですが、人間に誘惑させるキャラクターは化け猫ならぬ妖怪らしさが出ているのですが、目的は理解できても、そこに関する行動理由が理解出来なかったです。

また、ムゲの家族問題や友達との関係性のその後が最後にダイジェスト形式で描かれますが、個人的にはもう少し噛み砕いて描いてほしかったです。

ただ、それを踏まえてもこれは充分オススメ出来る良作アニメ映画だったと思います。


話は少し変わりますが、この映画は延期が発表された直後にNetflixで配信される事が決定しました。
プロデューサーのインタビュー記事によると、どうやら延期を決める際に予めNetflixとの交渉を開始していたそうですね。そこでの商談が良かったために実現したとのこと。
「Netflix側から提示された金額が高かった」と発言されてるので、恐らく製作費よりも高く見積もってくれて、製作委員会サイドは黒字になったと思います。あくまで予想に過ぎませんが。
昨今の情勢や映画業界のビジネスを考えればかなりの英断だったと思います。
自分たち観客にとっても有難い判断でしたが、同時に劇場公開されるはずだった作品が上映出来なくなりつつある現状はやはり寂しく感じます。

早くこの現状から抜け出して、映画館が盛り上がってほしいと感じます。