オトギバナナ

泣きたい私は猫をかぶるのオトギバナナのレビュー・感想・評価

泣きたい私は猫をかぶる(2020年製作の映画)
3.5
猫を愛でる日之出くんと、猫になりたいムゲちゃんの、不思議な話。序盤は「耳をすませば」のようで、終盤は「千と千尋~」のよう。「君の名は」チックなアオハルもブレンドされていて、既視感はあるが、スムーズで肌触りは良い。

物語の既視感といい、山ちゃんの配置といい、ヒット戦略的すぎるかも。クラスメイトが嫌なやつすぎて気分が悪いのと、ムゲちゃんの孤独を軸に置きながら、めちゃいい子な親友の存在をその軸的に無視してるのがひっかかる。

「ペンギンハイウェイ」のスタジオロドリゴによる新作長編、と銘打っているが、あの奇妙なSF感を産み出した森見と、ヨーロッパ企画の上田誠と、疾走感職人の石田祐康を今回は擁していないわけだから、比べるのも酷な話。

しかし、映像の綺麗さと音楽担当のセレクトは良かったので、そこはスタジオとして保証できるクオリティなのかもしれない。きなこの描写もなかなか良かった。