たく

コレクティブ 国家の嘘のたくのレビュー・感想・評価

コレクティブ 国家の嘘(2019年製作の映画)
3.7
2015年のルーマニアのライブハウス火災をきっかけとして、医療体制の問題から国家ぐるみの隠蔽体質が明らかになって行く戦慄のドキュメンタリーが怖かった。

軽度の火傷の入院患者がなぜか多数死亡したことから病院の医療体制の不備が発覚し、そこから病院幹部や製薬会社、ひいては国家ぐるみの隠蔽体質が明らかになって行く。医療水準は別として、投票率の低さから国民軽視の政党が与党に居座り続けるのは日本と全く同じ。劇中で「25年間違い続けてきた」って言葉があったけど、日本は30年も間違え続けてるからね。それはともかくルーマニアの医療水準の低さにはびっくり。

前半でスポーツ誌の記者が事実を暴露して行く展開から、前任者が追求を受けて辞任した後任の保健省が政治の腐敗に誠実に向き合って行く後半でこんな真面目な政治家が本当にいるの?って驚く。「なぜ君は総理大臣になれないのか」の小川淳也議員を思わせた。ここにライブハウス火災の被害者女性の前向きな生き様が重ねられて、フォト撮影が痛々しさの中に美しさを感じさせる。

外国のドキュメンタリーっていつもカメラワークが決まり過ぎてて、まるで映画用に作った映像みたく感じる時があるんだよね。
たく

たく