JunichiOoya

コレクティブ 国家の嘘のJunichiOoyaのレビュー・感想・評価

コレクティブ 国家の嘘(2019年製作の映画)
4.0
『トトとふたりの姉』がお気に入りなので見に行きました。

「おもしろいか?」と問われればもちろんおもしろい、というか滅法おもしろい。
「じゃあ、好きか?」と問われると話はちょっと別になってくる。

ドキュメンタリー製作にはいくつかの切り口があるでしょう。
作り込んで作り込んで、自身の言わんとすることを撮り手が周到に脚本に盛り込んで作品を仕上げるのも一つの手。
カメラを回すことで、回し続けることで、誰も思いもしなかった、何より撮り手すら想像しなかった映像が創出される、というのもあろうかと。

その伝で言うなら、この映画は巷間言われる「観察映画」範疇の作品では無いように思う。

だから想田和弘さんの一連のドキュメンタリーとはニュアンスが違ってて、でも『SHOAH』に見られる外連味たっぷりな「嫌味」は随所に顔を出してて、そういう意味ではワイズマン映画との親和性は高いかも。

好き嫌いは別にして、撮影後一定期間公にしないこと、公開予定映像を予め被写体と共有して、ベクトルを合わせながら完成させたこと、がこの映画の一番の特徴なのだと思う。

ショッキングな展開の連続ではあるけれど、実は意外性を感じることが少なかったのはその辺りが理由じゃないかしら。

冒頭の火事現場映像、多分既視情報だと思うのだけれど、とても新鮮に映った。編集の妙も感じさせていただき、『トト〜』とはまた違った次元でとても素敵な映画でした。
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