世の中の視点をアシスタント側に移してみたら見えなかった残酷な社会が浮き彫りになります。
初めにキーヴィジュアルを見たときは、オフィスを舞台にしたホラー映画かと思いました。実は社会派の衝撃作です。ある意味ホラー映画以上に怖い余韻かも。
映画製作会社のプロデューサーのオフィスで働くジェーン(ジュリア・ガーナー)の視点から見るとオフィスでのアシスタント業務がいかにマイクロ・アグレッションに満ちているか痛いほどわかります。
彼女の表情が凍り付いて脳面のようになる瞬間が度々訪れます。観ているこちらがわも”うわー”ってなるくらい。本当にひどい。男性から受ける女性差別はもとより同性からのカスハラ、ボスからのパワハラ、業務とは無関係のさまざまな流れ弾などなど容赦なく突きつけてきます。
シンメトリーの構図による冷ややかな印象がちゃんと計算されていて、さすがドキュメンタリー作家のキティー・グリーン監督だけあります。
クワイエット・スクリームの衝撃と受け止められた本作、日本では本国以上にこのようなアシスタント業務が常態化しているのでどうでしょうか?
87分でも観ているのがお辛い映画には間違い無いです。