悪魔の毒々クチビル

VETERAN ヴェテランの悪魔の毒々クチビルのレビュー・感想・評価

VETERAN ヴェテラン(2019年製作の映画)
4.4
You were a soldier.
You were a good soldier.
So were we all, weren't we?
So let's act like it.


現在、未公開ゾーン延長戦の一枠として公開中ですが、俺はどうしても時間が合わなかったのでBlu-rayを買ってきました。ビデマ久々だったなぁ。

スティーブン・ラング率いる退役軍人vsヤク中ヒャッハー軍団な作品ってだけで充分楽しみでしたが、実際とても良かったです。

まずフレッドことスティーブン・ラングが渋格好良くて最高。
「ドント・ブリーズ」の時はサイコなお爺さんくらいの印象でしたが、今作は老体に鞭打つアクション然りイカした台詞然り、歳を重ねた人間にしか出せない格好良さが満載で素晴らしい。
後半の「シャイニング」宜しく穴から斧を持って顔を覗かせる場面にはニヤリとしてしまいましたね。

他のジジイ仲間も皆良くて、個人的なお気に入りは恐らく最年長のダグ。
フレッドへ''Happy birthday.''を言うタイミングが絶妙過ぎてちょっとウルッと来ちゃったよ。
というか今作はゴアゴア格闘シーンの合間合間に挟まれる会話シーンが、キャラの肉付けをしっかり出来ている内容だったのもポイント高いですね。
前半は互いの過去を懐かしみながらフレッドの誕生日を祝い(大体下ネタ)、後半は加えて負傷して疲弊していく仲間を励まし合ったりする等、何気にゴアと同じくらい会話も好きな作品です。
フレッドとリザードの「泥」の話が特に好きです。

勿論ゴアも大変よろしかったです。
頭をショットガンで吹き飛ばし、踏み潰し、お手製グレネードで木っ端微塵等々。
たまたまフレッドのバーに立ち寄って巻き込まれる形になった兵士、通称デッドアイによる地獄の膝蹴り連打も強烈で笑っちゃったよね。
もう最終的にはバーのバリケードにも爆散した手足とか使っちゃっていて、ぶっ飛んだビジュアルになっていたのも好き。

敵のハイパーさん側はリーダー格のボズが如何にもヒャッハーな見た目でしたが、あまり強キャラ感は無かったですね。
側近の二人は強かったです。
その内の1人、スキンヘッドマッチョことタンクは本作のプロデューサーでもあるようです。

で、ジョー・ベゴス監督の作品は前作の「Bliss」以外は観賞したんですけど、作品毎にどんどん良くなっている印象。
今作のダウナーな雰囲気や照明は「マインズ・アイ」にも通ずるものがありましたが、今作ではそれが舞台設定にも合っていて厭世的な世界観を作れていたのではと思いました。
あとメイキング映像で初めてジョー・ベゴス監督の姿を見ましたが、ロン毛にヒゲモジャで「悪魔のいけにえ」シャツを着ていて普通にハイパーさん達に混ざっていても違和感無さそうな見た目で何か嬉しかったです。
今後も活躍が楽しみです。


余談ですが、初め「さぁここに感想書くか」と検索したら全然出てこなくて訳分からなかったんですけど、ずっとタイトルを''VTF''って打っていました。多分WTFとごっちゃになったんだろうけど、我ながら恥ずかしい間違いだなぁと思いました。