籠

ザ・バンド かつて僕らは兄弟だったの籠のレビュー・感想・評価

3.8
ブルース・スプリングスティーンは3人の偉大なボーカリストがいるバンドだと語るが、この映画だけではそれが誰のことなのか?知っている人にしか分からない。分かるのは歌わない人がその素晴らしい曲を書いていたということ。死人に口なしの香りが旅路の果てまでついてくるロビー・ロバートソンの丁寧な俺様語りが中心なので「メイキング・オブ・モータウン」とは作り方が違う。
俺様だけがまともだったから1976年のラストワルツ で幕を閉じたことになるが果たしてそうなのか?強制終了させて46年経て公開されたこの映画では、ずっと袂を分つたままではなかったことになっているようだが、かつての兄弟たちの孤独の叫びはここからは知ることは出来ない。
もちろん俺様だけがまともだったとも言えるのだがその偉大さは「アイリッシュマン」のサントラを聴けば誰もが納得することが出来るしロビーの驚愕のルーツからマーティン・スコセッシとの関係性を感じることになる。

唯一語り映像のないガース・ハドソンのビルボード東京のステージでの楽しそうな姿を思い出す。

ザ・バンドといえばザ・ウェイト
その名曲を10代の最初から受け入れられた音楽愛好家がいるとしたらその人は私とは違う世界の人だと思う。あの泥臭さはロックじゃないと感じることから何かが始まったのだ。今は石田長生の日本語バージョンが好きだ。
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