Jun潤

RUN/ランのJun潤のレビュー・感想・評価

RUN/ラン(2020年製作の映画)
4.0
2021.06.21

「search」と同じ製作チームによるサスペンススリラー作品。
監督・脚本は同じくアニーシュ・チャガンティ。

生まれつき病気を患い車椅子生活をしているクロエ。
大学進学を望み、母・ダイアンもその夢を後押ししている。
ある日、新しい薬を差し出されたクロエは不信感を抱き、その薬について調べ始める。
そして明らかになる母の狂気、その狂気から逃れるため、クロエの決死の逃亡劇が始まる…。

パソコンの画面上で完遂していた前作と違い、現実の世界を舞台にしている今作。
その前衛的な発想がない分初見のインパクトでは劣っていたものの、音楽やカメラワークで観ている側を不穏に煽ってくる力強さは明らかにパワーアップしていました。

話については、作品自体がクロエの目線で一緒になって謎を解き明かしていく作りをしていて、個人的に衝撃の事実がバンバン明かされていく流れがとても小気味よくて好きなので、なるべく前情報を入れずに観て欲しい感が強いです。
不自由な身体ながら色んなものを駆使して場を攻略しようとする様も見ていて飽きなかったので、そういう意味でもオススメ度高めです。
ホラーのような急激に変わるカメラワークもなく、ビックリ系が苦手な人にも優しい作りをしていたので、そこは安心して観て欲しいです。笑
謎に関わる重要な場面のメリハリもちゃんと効いていて、集中も途切れにくく、飽きさせず盛り上がりが続くような場面運びをしていました。

仕掛け的には、一軒家という限定されたシチュエーションの中、立体的な場面展開をする脱出劇や小部屋の中でヒントを探していく脱出ゲーム的な構成が印象的でした。

終わり方についても、作中の出来事のその後を描いてさあスッキリしたハッピーエンドかと思いきや、築き上げた価値観が全て覆りかねない、苦虫を噛まされたような終わり方が前作と違っていて、個人的にはこっちの方が記憶に残って好きですね。

あと細かいところで言うと前作にフリー素材とぢて出てきた女性の写真が今作にも出ていて、これは嬉しいファンサービスでしたね。
Jun潤

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