むぎたそ

ビバリウムのむぎたそのレビュー・感想・評価

ビバリウム(2019年製作の映画)
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世にも奇妙な物語&週刊ストーリーランド(古)臭がしたので、鑑賞。いや〜まあそういう意味では予想通りでした。こういう不条理ものは小説というジャンルなら普通にあるけど、映画でここまでやりきってるのはあまり見たことないから、その点では新鮮ではある。ただ大きい意味でのコンテンツ的なものの中でとくべつ新しさを感じるかというとそうではない。映画で、というのは、大作映画の中では見たことないって意味かも、同じようなコンセプトで自主映画でならむしろありそう、つまり世界観を作り込んでるから劇場でかかる映画として成立しているの。ハリウッドの規模でつくりこみ、スターも出ていると、ここまでのものになるのか!という。監督はグラフィックデザイナーだったとか。確かに色とか街とか一見オシャレでとても素敵な感じだものね。
確かに、次々にわかりやすい怪異が起こるつくられたホラーよりもこの手のもののほうが、じわじわ責められてる感はある。
作風とか読後感的には、べつにわからないまま終わってもよかったけど(たぶんこの映画は謎を明かすのが主題のタイプの映画ではないんだよね)、一応パンフで解説を読んだ。
途中まで三人のうちの誰かの視点(意識)だと予想していたのだけど、違ったのか。

「私を離さないで」とかもSFだけどまじでリアリティある普遍的で自分に近い話と読める、つまり、今作もそういう感じ。フィクションなのに、めちゃくちゃ現実的。退屈な日々(人生)の比喩なのかな、って。それをどう生きるかは自分次第で。変な世界であることは早々とわかって男女バディで抜け出そうとするストーリーラインは、「パームスプリングス」と似てるね。二本立てとかいいかもね。

映画も小説も(幅広く見ていると)トーンや文体を楽しむものだと思っているので、これはこれでアリ。でも、自主映画レベルのビジュアルで見せられたらたぶんつまらなかったと思う(笑)。
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