GOLF

ビバリウムのGOLFのネタバレレビュー・内容・結末

ビバリウム(2019年製作の映画)
4.5

このレビューはネタバレを含みます


 ひょんなことから不動産に立ち寄ったカップルが案内された先は、2度と抜け出すことができないルネ・マグリット的世界観の住宅街だった! そこで2人は見知らぬ子供を育てることとなり、彼の異常な行動に翻弄されながら徐々に疲弊していく、というあらすじ。結論としてこの住宅街は人間用のビバリウム(爬虫類や両生類などの住環境をケージの中に再現した飼育用の空間)だったわけだけど、「ああ、ここは人ならざるものが作ったのか」と視聴者が明確に理解できるのが、中盤の子供がテレビを見るシーンだと思う。それまでもコピペ雲や瞬間復活家屋、ミシェル・ゴンドリーオマージュ芝生になんとなく異質さを感じていたけど、テレビに延々と写るグニャグニャとした迷路のようなものは見るからにこの世のものではないからだ。しかも子供はそれを食い入るように眺めていて、ああ、これは“彼ら”用のメッセージ(か、娯楽)なのだなともなんとなく判る。それ以降、子供が持ってくる本に男と女と七三分けの子供が描かれていたり、子供が鳥人間にトランスフォームしたりと、気づけばそんな“彼ら”が何者なのかを考察するのが楽しくなっていた。ただ、常に漂う“ちょっとした違和感”と20分おきくらいやってくる“明確なヤバさ”に精神力を削られるのも事実で、楽しさと同じくらい疲労感にも苛まれる(話は逸れるけど、終盤にチラっと映る手拍子セックスは『ミッドサマー』の合唱セックスに肉薄するキモさだった)。この映画は「おしゃれな世界観と不穏な空気を酒飲みながらなんとなく楽しむ」くらいの距離感がいいのかもしれない。鑑賞者とその姿勢を選ぶという意味では評価がとっても難しいと思った。

 ただ一つ言えることがあって、この映画を絶対に見るべきでないのは、内見の予定がある人だ。そしてそれは僕だった。なぜこの映画を内見前日に見てしまったのだろうと今更すごく後悔している(というか、そもそも不動産が人外って設定どうやって思いつくんだ)。「あなたの人生、これでいいの? 」と皮肉たっぷりに自分を俯瞰させられてしまうわけで、その影響は見終わった後の日常にも及ぼされる。恐ろしい作品だと思うけど、それはある意味で名作の証なのかもしれないな、とも思ってしまう自分もいるのだ。あー明日が憂鬱だ。