家の内見に行っただけのカップルが、亜空間のような新興住宅地に閉じ込められ、人のようで人でない生き物を育てさせられるとんでもなく理不尽な話。
基本的にほとんどのシーンが静かに進行するのだが、住宅販売のセールスマンの少しズレた感じの口調や表情、人ならざるものの尋常でない速度で成長や言動、カップルのストレスフルな生活などなど、とにかくずっと不穏で気味が悪い空気が続く。こういう作品は退屈で合わないか、緊張感がハマって好きになるかのどちらかなのだが、今回は後者。
人間社会のメタファーや皮肉も多く散りばめられているし、このカップルが経験したことは誰が仕組んだのかを考察するのも楽しい。何も考えず『世にも奇妙な物語』的に楽しむも良し、人間社会における家族に思いを馳せるも良し、SFとしての辻褄が合う解釈を考察するも良しで、個人的には当たりだった作品。