TEXAS

宇宙でいちばんあかるい屋根のTEXASのレビュー・感想・評価

4.1
なんと言っても来年朝ドラ主演で、今後映画界に新風を巻き起こすであろう18歳・清原果耶の魅力を知る作品である。

彼女を今後語る上ではマストな作品として残るであろう。
それは例えば蒼井優の『花とアリス』、宮崎あおいの『害虫』のような。

数年前『ちはやふる』で広瀬すずのライバルとして登場した初々しさから、更に魅力はアップしており、大人びて洗練されてきてはいるのものの、その不器用さは残っている。
おおよそ、この年代ではキラキラが勝ることが多いが、彼女の場合はそれとは違う種類の、世間に対しての鬱憤の眼差しがある。これが彼女の魅力でもある。

そういった清原果耶の人間性が、スクリーンを通して嘘がなく、もっというと嘘をつこうとする姿がリアルなのである。
大人になろうとしているガムシャラな姿。
そういった恥ずかしい姿を見せる事は、なかなか計算だけでは出来ない培われた産物とも言える。
本人は相当苦しんだ(苦しんできた)のではないか、と想像する。
そういった事もあり、最後に流れる本人が歌う主題歌は、エンディングに相応しい全てを昇華する力を持っている。彼女が歩むだろう道を逞しく宣言をしているような。

作品全体は、絵本絵巻の世界観で、最近は観ないタイプの優しさで支配されている。
大衆的ではあるが、独自の世界観があるのだ。
ファンタジー映画としての括りとして見ると、物足りなさはあるものの、ドラマ寄りのジブリという感じだろうか。

そして桃井かおりは圧倒的な存在感を見せ、樹木希林の位置は彼女が今後担っていくことが想像出来る。
女優2人の新旧対決、そして行末を決定づける作品としても面白い。
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