のん

宇宙でいちばんあかるい屋根ののんのレビュー・感想・評価

4.2
大丈夫、まだ繋がっているからね


最近一気見した『ヴァイオレット・エヴァーガーデン』がアニメーションのなかで実写の様な表現に挑戦していたのに対し、『宇宙でいちばん明るい屋根』は、画の作りがアニメーションに非常に近い。


屋上の上での一連のシーンや、くらげが空を舞う幻想的なシーンは完全にアニメの表現そのものであるし、ラスト付近には新海誠作品のような遠景のシーンも一瞬出てきたりする。


その現実とファンタジーの境目のようなふわふわした画が、作品のテイストには良く合っていて、ともするとやり過ぎて台無しになったかもしれない絶妙なバランスで成立しているのは藤井道人監督のおかげだろうか。



妖精なのか妖怪なのかよくわからない桃井かおりは、桃井かおりと言われなければまずすぐには気付けない役柄を飄々と演じていて、まず間違いなく今年の賞レースの本命だろう。


桃井に対して一歩も引かない堂々たる存在感で作品を牽引する清原果耶は、森七菜と並んで、今後のの日本映画界に革命を起こす逸材だとこの映画を観て確信した。



非常に丁寧に綴られた映画で、作品の舞台となっている2005年は自分もちょうど中学生ぐらいだったので、そのあたりの淡い思い出を作品に重ねながらスクリーンを後にした。
のん

のん