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春を告げる町のgenarowlandsのレビュー・感想・評価

春を告げる町(2019年製作の映画)
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震災についての映画を初めて観ました。人の悲しみや痛みをエンタメとして消費するように感じ罪悪感を覚え、避けていました。観ようとしたきっかけは前日に観た「東京大空襲」のドキュメンタリーで、風化させてはならないと、高齢になった方々だけが頑張っている姿を観て気持ちが変わりました。

慎重にドキュメンタリーを選びました。政治的メッセージや一つの強いメッセージが送られるものは見たくなくて。

福島県双葉郡広野町は、全町避難でしたが、解除は比較的早く、原発の作業に携わる人が半数いる町。

福島県双葉郡広野町の人たちはさまざまな思いや考えを持っていて、2017年当時の「復興」は、私が知りたかった「さまざま思い」そのものでした。

復興財団によって設立された未来学園の高校生の演劇部が、「復興」をテーマに表すのに土地柄、悩み、何度も納得するまで練り直していきます。ラスト文化祭での出しきった発表に拍手しました。

行政側が復興の柱にしたい貴重な祭り。地元の長老たちは、震災前に休止していたものを今さらやりたくないという。文化財担当職員が、途切れても誰かがそれをいつか繋いでいく、と長い目で話す言葉に長老たちが耳を傾けている姿が印象的でした。

帰還した若い夫婦が、長老たちにやり方を教えてもらい、子どもの頃を思い出しながら、正月行事のどんど焼きで春を迎えます。子どもたちがそれを楽しむ、いい光景だなと思いました。楽しかった思い出が次の楽しい思い出を作っていくのですね。

来年も震災関連の作品観ていこうと思います。
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