JunichiOoya

アンダードッグ 前編のJunichiOoyaのレビュー・感想・評価

アンダードッグ 前編(2020年製作の映画)
2.0
前後編ということで、まとめて見たけれど正編続編という括りでも良いかも。
前編だけ見て、はいお終いでも大丈夫。あえて4時間以上付き合うほどのことはないですよ。

それにしても内容が随分と薄い。長い時間拘束されるので余計にその感を強くする。

物語のそもそものエンジンになるべき、日本チャンピオン戦についての語り方がまず中途半端。主人公も金髪のチャンピオンも、何をそこまで後生大事に拘らなければならないのか、が平べったい台詞でしか語られていない。

主人公、養護施設育ちのチンピラ、お笑い芸人。拳闘に己を賭ける3人もまた揃って動機薄弱、ほぼ後付け。

そして何よりその3人をはるかに凌駕してしまう周囲の人物たちの薄い薄い描かれ方。

瀧内公美、萩原みのり、柄本明、風間杜夫…。それぞれによくあの役どころで出演を承諾したもんだ。困った顔、辛い顔から、そしてラストは破顔へ。
いやあそんな簡単な話じゃあないでしょ! 養護施設でのトラウマはそんなに簡単に払拭できないよ。執行猶予もらったクスリとの因縁はそんな生っちょろいもんじゃないよ。放蕩息子を持つ成功した親が、そんなに簡単に子の頑張りに涙してどうすんのよ。そして何よりあんな安易な柄本明はどうしたんだ、呆けたのか。

最初は、「女」という人間の描き方があまりに通り一遍なので呆れていたのだけれど(瀧内、萩原、子役の女の子)、実は女だけじゃなくて、性別を問わず「人」の捉え方そのものに果てしない甘さがあるな、と思い直した。

こうなりゃ、プレハブ冷蔵庫で枝肉にパンチを浴びせながら能天気に「充実」していた「種馬」さんのように無限に続編を作って末永く生きながらえていただければ良いのではないかしら。
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