金正恩

佐々木、イン、マイマインの金正恩のレビュー・感想・評価

佐々木、イン、マイマイン(2020年製作の映画)
4.5
漠然とした不安と焦燥感を抱えながら過去と向き合う映画。

やるやる言いながら結局何も出来ないまま歳だけを重ねたモヤモヤした描写が凄い。
主演の藤原季節はしかめっ面でタバコをチリチリふかしながら思い悩むばかり。
不安と焦燥感のお手本みたいな演出。
それに対して陽キャの権化の佐々木は過去のメタファーとして君臨するんだけど単に楽しかった思い出だけに止まらないのが物語の多層構造感があって良い。

タイトルだけにふざけた作品かと思いきや作風は至って真面目。
前述のタバコを使った心理描写や、布団の置き方で元カノとの距離感を表すなど小道具の使い方が良い。
時代感が絶妙に分かるpikoやカスタムロボなんかの小道具も良い。
小春日和の快晴なのに光量足りてない感じの自然光でノスタルジーを表現したりと照明も良い。
主人公が俳優という設定を活かして日常会話じゃ絶対に使わない詩的表現を劇中劇のセリフとして代弁させたり台詞回しも良い。

エンドロールの短さとクラウドファンディングの支援者紹介で推して図られる予算の少なさをテクニックで補っている傑作。
金正恩

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