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佐々木、イン、マイマインのdecapのレビュー・感想・評価

佐々木、イン、マイマイン(2020年製作の映画)
4.3
誰しもが過去に持つ青春という名の可能性の数々を「佐々木」に反映して見つめる普遍的な成長譚。
ふと振り返る過去と現実のギャップに打ちのめされる時と、絶望の渦中にふと未来への希望を見つける時とで徹夜明けの朝の美しさが対比して描かれるのも泣けるし、ほんとに美しく愛おしい。
可能性しかない「あの頃」からひとつずつ別れを繰り返して前に進むという行為をテネシー・ウィリアムズの『ロング・グッドバイ』と重ねて丁寧に描く素晴らしさ。役者も皆よくて全員を好きになる。
他利には全力になれるのに自己の幸せには躊躇して罪悪感さえ伴う愚直な生き方は胸を打ち、映画を見ることで己の人生を見返すことを強いられる、特別な作品であり特別な経験になってしまった。
高校生の部屋着に“piko”を選んでる衣装もグッとくる。劇伴のドラムはドラマティックで粒立ちの強い服部正嗣
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