フォンディ

佐々木、イン、マイマインのフォンディのレビュー・感想・評価

佐々木、イン、マイマイン(2020年製作の映画)
5.0
マイナンバーの代わりにこの映画を提示することで、役所の手続きなどが完了したりしないですか?というくらい何回も観た。
私に佐々木のような友人がいたわけではないし、主人公の境遇とも似ていない。それなのにこれは自分の思い出であり、自分の人生と体験が全部入った映画だと言える。
どうして涙が止まらないのか、最初は自分でもよく分からなかったが、複雑に周りまわって、結局はただ嬉しかった。
もちろん映画の技巧的なところで、無駄なく置かれたセリフや考え抜かれた演出に感心するとか、そういう裏付けもあるが、1にも2にもとにかくハート。
序盤の主人公ではうまく演じることのできなかった劇中劇のあのセリフが、最後には魂の叫びに姿を変え、私の人生の朗読となって心を焚きつけてくる。それが痛くて寂しくて、だけど嬉しいのだ。それは佐々木がいてくれたことの嬉しさであり、もう会うことのできない友への伝言であり、さようならを言い続ける私の人生なのだ。