出所不明の巨額の捜査費を使って高い検挙率を誇る汚職警官の内偵調査を行う正義を貫く新人警官の姿を描いたクライムサスペンス。
日本の小説家である佐々木譲の同名小説を韓国で映画化した警察内部の闇を描いた映画。もし日本で映画化していたら中途半端な緊迫感で地味な面白みのない映画になることが容易に想像できる。日本の映画ではできない韓国ならではの硬派なサスペンス要素に加えての迫力がありながらも映画全体の雰囲気を壊さないよう作られたアクションがよりこの物語を面白いものにしていたと思う。上下巻ある小説の映画化だから色々なエピソードや設定が省略されているのだろうから原作を読んでみたくなった。この物語は父親が殉職していながらもその事実を隠蔽された新人警官が暴力的で出所不明の捜査費を持つ汚職警官の懐に潜り込み内定調査をするというもので、この汚職警官を演じるのが韓国でもトップクラスの名優であるチョ・ジヌン。このチョ・ジヌンが見せる余裕がバレてはいけないという緊張感を倍増させていた。そうは言ってもバレてはいけないという設定にはそこまで重きを置いていないようで、実際に重要視されていたのはなぜこの汚職警官が新人警官を受け入れたのか。バレてからが本編とも言える。大きなどんでん返しはないけれど真相が見えてくるのは面白くて、チョ・ジヌン演じる汚職警官がただの悪人でないということがわかっていくのも面白かった。完全に硬派な映画というわけではないけど確かな緊張感とエンタメ性のバランスがよく取れていていい映画だったと思う。