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グッバイ、レーニン!のJのレビュー・感想・評価

グッバイ、レーニン!(2003年製作の映画)
3.5
東西に分断されたドイツの東側のお話。

熱烈な社会主義支持者の母親は心臓発作で意識不明に。
その間に冷戦は終わりベルリンの壁も崩される。

8ヶ月の時が経ち意識の戻った母親だったが、ほんの少しでもショックを与えると再発の恐れがあると宣告される。

母親を護るために、息子は社会主義がまだ続いているという嘘をつく。
 
「嘘」というテーマを歴史という大きい題材と家族という小さい題材に落とし込んでいる。

上出来な嘘は一時的に人や国を幸せにする。
そして、嘘がバレたときもある意味で人や国を幸せにするのだと思った。

母親が見たい世界ではなく自分が見たい世界を創っていた、という息子の台詞があったように、

母親に嘘をつくことで、母親の見る世界に自分の印象的だった幼い頃の記憶(今はなき東ドイツの記憶。父親、宇宙飛行士、など)を重ねていたのだろう。(過去というのは自分の都合の良いように美化される)

東西の統一という喜ばしい出来事のうらで多くの人が自分の故郷を失っている(良くも悪くも)
と考えると、やはり共産主義・社会主義の敗北は大きな出来事だったんだろうし、そもそも分断されること自体おかしな話なのである。

あと、この映画のファッションが好き。
J