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逃げた女の一のレビュー・感想・評価

逃げた女(2019年製作の映画)
3.8
韓国の名匠 ホン・サンス監督作品

第70回ベルリン国際映画祭の銀熊賞(最優秀監督賞)受賞作であり、2020年カイエ・デュ・シネマ誌が選ぶベストテン第2位に輝いた作品

公私ともにわたって監督のパートナーであるキム・ミニとの7度目のタッグとなったドラマですが、個人的に会話劇好きではあるものの、これまでのホン・サンス作品との相性はそれほど良くはなかったのですが、本作に関してはシンプルにめちゃくちゃ楽しめたし、時折スリリングになるミステリアス加減、そして職人芸である独特な画角とズームインで心を絶妙にざわつかせてくる

意味ありげなニワトリではじまるファーストカット
大まかに三つのパートに分かれ、切り替わるタイミングで必ず山を映し出し、77分という極端に短い尺でも、まんべんなく無駄を排除した見事な演出

緩やかな流れで特に何も起こらないのに不思議とサスペンスフルな新感覚といいますか、やはり唯一無二の作家性を持つ監督は非常に魅力的

一体誰が何から逃げたのか
ひたすら続くのはどこにでもある何気ない会話
しかし不意に訪れる人間の本質あぶり出す絶妙なやりとりの巧さはホン・サンスの真骨頂

美人以外だとサザエさんになりそうな髪型なんだけど、キム・ミニにはどんぴしゃに似合っててめちゃくちゃ様になってたし、ここ最近のキム・ミニの中でも一番かわいいと思えるレベルで好き
『はちどり』で一際異彩を放っていたキム・セビョクも素晴らしい存在感でした

なにより実生活での監督とキム・ミニの関係性を変に勘ぐりながら観てしまうような作品だけど、ホン・サンスのセンスが光りまくる見事な会話劇で大満足

さすがにホン・サンスワールド全開なのでテイストは異なりますが、『街の上で』で今泉力哉監督にハマった方にもおすすめしたい👌🏻

〈 Rotten Tomatoes 🍅100% 🍿-% 〉
〈 IMDb 6.7 / Metascore 79 / Letterboxd 3.6 〉

2021 劇場鑑賞 No.039