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逃げた女のmstashdのレビュー・感想・評価

逃げた女(2019年製作の映画)
4.2
会話劇、ベルリン映画祭銀熊賞という共通点で、昨日見た偶然と想像に続いて今日はホン・サンス。
こちらは極めてリアルな演出。まるですぐそこでたまたま繰り広げられている日常をそのままカメラに納めたようである。
3つのシーンで女性たちのとめどなく続く会話が繰り広げられる。しかし、語られる内容ではなく、語り続けることによって語られないことの輪郭が描かれている。
どのシーンにも共通して出てくる敵対するする男性。これはやはり主人公が置かれた状況のメトニミーではないだろうか。
そしてラストシーン、やはり主人公は語らない。映画館で流れる映像と波の音。ここに物語と主人公の心情を投影する。
物語を語らないことで物語を語るという極めて挑戦的で超絶技巧的なことを、さらりと撮ってしまうホン・サンスに脱帽した。
作品としては全く異なるが、2年連続アジアの会話劇が銀熊賞を取ったのは興味深い。