逃げた女の作品情報・感想・評価 - 72ページ目

「逃げた女」に投稿された感想・評価

アマチュアよりも下手だし、だらしないし、私のまわりではホン·サンスはファスビンダーと並んで評価は圧倒的に低い。個人的には、処女作等は観てたが·今の韓国で1.2の才人と確信したのは、やはり2003の特集上映だったか(『オー·スジョン』等)。それが現在の世界レベルでも1.2を争う存在とマークしたのは、数年後、『浜辺の女』『ナイト·アンド·デイ』を観た頃からか。その後の(大)傑作は、10本に届くだろう。一時期のゴダールよりも、粗製?濫造なのだ。それがこの2.3年発表が途切れた。本作は来年の日本公開が決まったそうだが、思わずチケットを買ってしまう。
韓国のロメールなんて配給会社が作品の軽さから付けたのだろうが、キャリアの半分くらいまでは、2時間を越える事も珍しくなく、ヌードや絡みも並みにあった、とにかく初期の印象はドロドロと心も肉も泥臭感が強かった(ロメールだって、日本では公開が始まる以前の時期の主人公は多く中年男性だった事を思うと、フレーズは当たってるのか)。ソフィスティスケイトされてきたというより、デジタルにもなってせっかちにストレートに臨む地点に回り道をしないようになっただけにも見える。本作は韓国人特有?の態度(浅ましいへ)豹変の変わらぬイモっぽさ·汚し感を除けば、映画と表現の純度·厳密度を高めてきてて、序盤ドライヤー、後半アントニオーニを想起させるものにまでなってきてる。それを普通にやってて、ズームの前後複数段階(後半速度アップする)や左右パンの限定感がキツくない。オリーブみたいにより細くなったキム·ミニがおんなよりも、一番近しい傍にいてくれてたひとという感じで即暖まる、懐かしい人の存在が詰まってる(道すがら訪ねる先輩二人には、ルームメートの人柄や若いタバコ仲間の存在、年齢と老化·蓄財や出会いの話題、らでどこか不安定もほのぼのと、最後に半ば覚悟の上か会う·かつての恋仇とはゴツゴツしながらも懸案のことを探る真剣さが·と、いいひとだけど·弱いものも見せるに鎧まとわない素直さが、スターや女優の自意識を離れた近しい好感が何とも何にもいえない気分にしてくれる。同時に後述べる特殊でもない今の普通の人間の持つ、つきまとい突き放せない本質的不安の共存。いい人·親しい人とは、そうでない人と違い対面上·鉾を収め無いものと思い込んでるだけの関係?)。野良猫に餌をやる論理·優先度のらち空かぬ話し合いと·当のチャッカリ自己世界の猫、馴染みの「本当に親しかった」?筈の先輩のうちなのに·研ぎすまされ眠れぬ夜や·不思議な立ち入り不可の2階の存在の気掛かり、酔って気紛れで寝てしまった男の執拗さか純情かへの一方的邪険、5年間も1日も空かず常に一緒の夫と·彼が出張となると無意識にフラフラ向かったは先のライバルと取り合った先生的存在の互いに距離と素っ気なさがあるもイチモツ持ち合ってる男(繰返し·反復生活巧者の浸透が無口の‘本気’度を消してたのが、起き上がりかかる)のもと、とへんにミステリアス·意味不可解な所が塗り込まれ滲み出してくる(ラストの挨拶の、女と思えぬぶっきらぼう)が、これまでのようなすっとんきょう·あからさまな夢や現実中のキッカイイメージが介入してくるわけではない、異版の現実が並行相克し合ってるわけでもない、全てが一色の内に透けてくる。
構図にも、窓大小やモニター·スクリーンの浸食感はあるけれど、家具その他はごく普通に鎮座し機能してて、生活感や装飾センスは削がれてて、全てはシンプル·均質に一体化している。昔のように芸術映画志向を広言する人も皆無の時代となったが、ふとこんなのを今に相応しいアートというのかな、と思ったりした、ミニマル·アートなんていうオシャレでもない、そっくりまんま。ちょっと凄いのだが、あからさまな現しかたを放棄して、内へ向けて磨き上げてるだけが弱くも映る。それにしても、映画批評なんてサラッと眺めるだけで気にもしなくなって久しいが、梅本Jr.の落ち着き払った分析力には惹かれる(そうか、本作は時系列の3話構成でもなかったのか、思い当たる。振り返りなんて、いつもの仕草の延長にしか見えなかったのに)。まだ高校生? 蓮見さんなんかを吸収消化しきってるようで、せっかちで早合点なお父さんより大物の感。ライヒャルト上映会で受付で招待されてたのか、名乗ってたのを見かけたが。こちとらは、蓮見さんなんて高校生の頃は(ま、未だに。接する限り、取り巻きと違い、本人はいい人だが。ホン·サンス的に?)、先駆的なんだろうけど、ヘンなオジサンにしか思えなかった。
ネット

ネットの感想・評価

3.5
面白かったんだけど、いまの自分の精神状態のせいなのか話を全然覚えてない。三人目のパートは『それから』のパラレルワールドか?という感じもしてしまう。
こんなに横顔を撮る人だったっけ?と思った。
いつもよりちょっと上流階級の匂いがする(二人目の印象が強い。マッコリじゃなくてワイン!)映画であり、そのせいか若干冷たい。格言めいた的確な言葉もなく、せいぜい二人目の先輩にかける優しい「大丈夫ですよ」が虚しく漂うくらい。
キム・ミニのスタイルの良さ!オリーブを食べてる様子が艶っぽい。あと猫の貫禄!
ただロメールらしくキム・ミニが知人らと話しているだけで色々と含みを持たせたり空間自体を魅力的にしていた点は流石のホン・サンスだったが、反面映像や構図にはそこまで美しさを覚えなかった点は残念。

監視カメラ等の映画内映像を印象的に使っていた点も面白かったが、ちょっと意図が不明瞭だったのがこれまた残念。(全部見ているのがキム・ミニだったからメタ的な役割を果たしていた?)

と、色々残念に思いつつもつまらない日常を魅力がありそうに映すホン・サンスの映画には相変わらず敬意を表したいし嫌いにもなれない。

それにしてもあの絶妙な動きをしていた猫、もしかして前世はかなり名うての俳優だったりするのか?
東京フィルメックス
邦題『逃げた女』

キム・ミニが昔なじみの3人の女の友人知人を訪ねて回って他愛もない話をするだけ、しかしその会話の端々もしくは実際に「闖入」してくる訳あり/癖の強い男の存在が時間の堆積と決して単線的かつ順調というわけでもなかっただろう女たちの紆余曲折、そして現在の達観(諦観?)をあぶり出す。こういうのは従来のホン・サンスにも共通した要素ではあるが、しかしこの最新作はより枝葉が削ぎ落とされてシンプルかつミニマルになっているね(お得意の急激なズームは何回も登場)。これみよがしなところが全くなくなっているのを新境地ととるか物足りないととるか。それにしても3人目のキム・セビョク(『はちどり』での漢文塾の講師役良かったねえ)がキム・ミニに語る「夫は同じ話を何度も繰り返すが、それは嘘だからだ」という意味の言葉。しかしキム・ミニは3人の女を訪ねてそれぞれに「結婚して5年、今まで全く離れたことがない、旦那は『愛していれば当然だ』と言う」とまさに同じ話を繰り返す。嘘くさい存在はキム・ミニその人なんじゃないか。虫も殺さぬ風情だけに無意識の闇は深い、のか(あまつさえその後に気まずく再会したかつての教師で元彼=先に書いたキム・セビョクの現・旦那に同じ話を受け売りして言う始末)。そもそも題名の『逃げた女』、キム・ミニですよね、何から/何で逃げたのか? ここまで書いて、こういうことまで思いを馳せさせたのだから確かに本作でのホン・サンス、表面はシンプルなのに進化/深化しているのかな。来年一般公開らしいです。あとはデブ猫いい芝居してます(笑)。
菩薩

菩薩の感想・評価

3.6
キム・ミニの自分で浴室で切った後に美容室で整えて貰ってる途中で美容師が死んだのであろう「イカれた高校生」の髪型がアリかナシかの評価が分かれるところであろうが、今年度ネコデミー賞最優秀主演お猫様部門ノミネート及びとっくりセーター着用推進協議会強化指定選手としての座はガッツリ確保していたので良かったと思う。多分に自虐要素を含みながら、映画が持つ領域侵犯のエロスみたいな作品なんですかね?この映画を観ながらキム・ミニの幸福かどうか定かでは無い生活を覗きながら、他人の生活を覗き込むキム・ミニを捉えるみたいな、知らんけど。「同じ話を繰り返すのはマジで退屈、クソ、死ねばいいのに(そこまで言ってない)」と言いつつ用いられる反復と必殺のズーム(たぶん12回くらい?)、最後の韓国のアップリンクみたいなミニシネコンの労務環境が気になるところではある。
HappyMeal

HappyMealの感想・評価

4.4
観たことあるキムミニ期の作品だと一、二を争うくらい好き
空虚で退屈な反復を行うしかない人生、仕方なく映画という浜辺に戻るしかない哀しさ、猫と詩人とリンゴ

2018年の2本もどうしても観たいのでまとめて公開してください…
1回目 20201102 TOHOシャンテ
2回目 20210619
近作で特出…とかは思わなんだが、ふつうに面白かった。場所に紐付けられた人物+キム・ミニ会話×3。招かれざる妄言ヒューマニスト訪問者×2がこわい。頻出する"既婚者"/"離婚"要素。「彼の考え」…ディスコミュニケーションの映画。被写体としての自覚が佇まいから溢れ出す猫!

二度登場する玄関モニターカメラの用法も面白かった。特に二度目…"切り返し"!飲酒量尺度としては低レベルのホン・サンス映画。

(上映題『逃げた女』)

2020/10/31
mira

miraの感想・評価

4.0
猫ズームとかインターフォン越しの切り返しなどコミカルなシーンが印象に残るけども、どこにも行き場がないものの悲痛さで埋め尽くされていて、心をえぐられる映画だった。窓を閉めようが鳥の鳴き声はうるさいわけだしね。人の痛みと真摯に向き合う映画はきっと素敵なんだと思うの。
csm

csmの感想・評価

5.0
正直いつも傍観者でつまんないような気がしてたキムミニ。花屋なのにやることがないと言いながらふらふら漂ってるその存在って、今も他者とがっつり対峙してる先輩たちより相当ヤバい。その虚ろな存在にただ冷え冷えとした気持ちになって笑ってられない。やっぱりホンサンスすごい。こわい。

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