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魚座どうしのnagashingのレビュー・感想・評価

魚座どうし(2020年製作の映画)
4.0
被写体とカメラの緊密な連携が画面の隅や後景に潜在する不穏を拾い上げる。が、まったく段取り感はなく、硬軟両様の暴力性にさらされて静かに摩耗していく子どもの、ともすれば散文的になりかねない息苦しさの中に、豊かな運動性を呼び込む。前2作から飛躍的に洗練された語り口に驚愕。水槽の中にいることの寓意っぽいボコボコ音が鳴りやむラストは作為的すぎる気もするが、切り返しに託された「出会い」には、ここから物語が始まるような予感に満ちている。その絶頂で終わる切れ味。
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