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野獣の青春のHKのレビュー・感想・評価

野獣の青春(1963年製作の映画)
3.8
これは面白かった。
先日観た『殺しの烙印』と違い、よくわからないこともなく、ちゃんとエンターテイメントしているし、いかにも後に『ツィゴニネルワイゼン』を撮った鈴木清順らしさが随所に見られる作品でした。
原作は大藪春彦のハードボイルド・アクション。

モノクロだった『殺しの烙印』より4年前の作品なのに、こちらはカラー作品。
オープニングは、モノクロの画面にパステルグリーンのクレジット(もちろん漢字)。
映画が始まってしばらくはモノクロ、そしてワンカットのみパートカラー。
突如フルカラーになって謎の男(宍戸錠)が登場し、物語がテンポよく展開していきます。
今回は、なんじゃこりゃというシーンのどれもが面白い。

本作を撮った後、清順が『殺しの烙印』で日活を解雇されるまでに、なんと年間3本ペースで11本も撮っています。
本作の前にも日活で7年間に20数本の映画を撮っているベテランですから、やはりいきなりの解雇は当時の日活社長の暴挙だったんでしょうか。
『殺しの烙印』がよほど嫌われたんでしょう。

『ツィゴイネルワイゼン』は大好きですが、『殺しの烙印』を見て以前の清順作品をまだ観るか迷ったんですが、これは他の作品も観なければ。
アマプラでまだいろいろ観れるようなので、今さらながら楽しみが増えました。

しかし、これほど悪の小林昭二を見たのは初めて。金子信夫と同格とは。
仮面ライダーの立花藤兵衛はもちろん科特隊のムラマツキャップよりも前にこんなに悪いことしていたんですね。投げナイフの腕も一流です。
ついでにこんなに髪の毛の多い鈴木瑞穂も初めてみました。
川地民夫も渡辺美佐子も若いですね。
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