ENDO

ベルリン・アレクサンダープラッツのENDOのレビュー・感想・評価

4.0
大人の寓話(陳腐な表現)!アルブレヒト・シュッヘ演じるラインホルトに尽きる。あまりの厄ネタぶりに失笑!腰に手を当て前屈みになる仕草ときたら。原作に沿って性的倒錯者なのは明らか。ユーロライブのインタビューでクルバニ監督が語ったラインホルトの人物像は植民地主義的白人らしいです。妻の撲殺は難民ボートでしがみつかれた際の一撃として翻訳。原作の冒頭に繋がるエンディングに希望を込めて。エヴァという自立したクラブの女主人よりもミーツェという揺らぎのある娼婦を選ぶ。難民の置かれた状況において単純労働の変化なき安心よりもスリルと生きる目的を見つけるために危険を冒す。それは人間として当たり前なのかもしれない。尊厳を失った人間は抜け殻になってしまう。原作のラストは社会への迎合と人間性の喪失であった。それでも尚生きる極限状態における(つまり社会的だけでなく精神的難民も含む)人間への賛歌でもある。ASMR音響はいい!だけど映像の快楽は少なめ!

2年程前秋葉原の某ビル内にある『魚民』を目指してエレベーターで移動中、誤って改装中の階に止まった事があった。そのほとんどが移民の作業員で開いたドアからこちらに視線が集中した。あの誰にも知られざる空間はこの映画の世界と直結していた。深淵に見返された気持ちになったことを思い出した。
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