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マシニストのRのレビュー・感想・評価

マシニスト(2004年製作の映画)
3.9
すごい! クリスチャンベールがすごい! ムキムキなイメージしかなかったけど、本作ではガリッガリでガイコツみたい。役づくりが激しすぎて別人にしか見えない。ずっと見てるのがしんどいくなるくらい痛々しい細さ。一年間まったく寝てない工場勤務の男トレバーが、冒頭、自宅のバスルームで死体を敷物にくるんで、海辺に捨てにいくシーンから始まる。誰を殺したのか、なぜ殺したのか? ダークでグレーなミステリーが、不穏なムードの中じっとり展開していく。トレバーはあまりに寝てないし、食も細いので、いつも意識がぼんやりしてる様子で、そんな彼の前に同じ工場で溶接工として働いてると言うアイバンという男が現れ、知り合いになる。が、おかしなことに、工場のだれもそんな男を知らないという、そして、みんなに、コイツ、アル中かヤク中なんじゃないか?と疑われてる矢先、朦朧とした意識下、マシンの事故で同僚の腕を切断する大怪我をさせてしまう。そこからどんどん何が現実なのかわからない状態に突入していく。けど、彼自身は自分がおかしくなってることにまったく気づいてない。眠れない彼の精神を辛うじて支えているのが、時々ぷらっと会いにいく娼婦と毎晩通ってる空港のカフェのウェイトレス。ジェニファージェイソンリー演じるこの娼婦がトレバーと裸で絡んでるシーンはホントにキミが悪い。トレバー顔色悪いし、肌ボロボロでガイコツみたいな身体にキスやらフェラやらしてるの、何か見てらんない。よーやるわ。けど、そんなことに御構いなしで娼婦とトレバーはホントに信頼し合ってそう。ウェイトレスも同じく、母の日に息子を連れて、トレバーと遊園地に行ったりする。ところが、彼の精神はどんどん蝕まれ、冷蔵庫に貼ってた買い物メモがハングマン(英語の言葉当てゲーム)の絵に変わってたり、誰も知らないアイバンが何度も現れては消えたり、遊園地のお化け屋敷がとんでもないものに見えたり…見てる間ずっと、映像や演出の不気味さと痩せすぎクリスチャンベールで、じわじわ気持ち悪く、見てるこっちまで心が鬱々、具合が悪くなりそうになる。前半はそれで結構長く感じるんやけど、ミステリーがどんどん濃厚になっていく中盤からは世界に引き込まれた。個人的に音楽がすごく好きやった。映像の仕掛け自体はいかにも今風な感じやのに、古いサスペンスや恐怖映画のような音楽。で、最後は、ミステリーの解決であっ!と驚く!ってなるかと思いきや…一番あっ!と驚いたのは、クリスチャンベールのまたもうひとつの姿でした。それが真相より印象に残った。真相は比較的地味笑。おもしろいけど。何かもうストーリーがどうこう言うより、良くも悪くもクリスチャンベールの映画って感じ。クリスチャンベールのことを知らずに見たらもっと純粋に映画として楽しめるのかな? そう言う人の感想こそ気になるところ。
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