回想シーンでご飯3杯いける

のぼる小寺さんの回想シーンでご飯3杯いけるのレビュー・感想・評価

のぼる小寺さん(2020年製作の映画)
3.2
クライミング部に所属する小寺さんは、自分の好きな事だけにとことん打ち込む超マイペースなな女子高生。そんな彼女が黙々と「のぼる」姿に、卓球部の近藤を始めとする、学校の中で居場所を探していた同級生達の心が突き動かされていく様子を描いた作品だ。

「町田くんの世界」や「桐島、部活やめるってよ」辺りにも似た、1人の若者の影響で周囲の人達が成長していくスタイルは、日本の青春映画で比較的頻繁に見かける手法。群像劇としても面白くなるので、こういうのは結構好きだ。クライミング部という事で、小寺さんの太ももを下から舐めるカメラ・アングルが多いのは、やや「狙い過ぎ」な感じがするけど、笑いと感動が入り混じる良い映画だと思う。

少し気になるのは、最近の日本の青春映画に出てくる登場人物は、人付き合いが苦手で無表情な子が多い事。演技の経験が少ないからそういう設定にせざるを得ないという事情もあるか? はたまた、人に危害を与えない無難な人物像が好まれる風潮があるのか? 実際のところは良く分からないけど、もうちょっと表情豊かで、活力溢れる姿も見てみたいと思う。そういう意味で、本作の中ではクライミング部の先輩2人の馬鹿っぽさが凄く貴重。他の作品だと、空を飛んだ「町田くん」は抜きんでて魅力的なキャラクターだったと思う。