千里

のぼる小寺さんの千里のネタバレレビュー・内容・結末

のぼる小寺さん(2020年製作の映画)
4.2

このレビューはネタバレを含みます

トレイラーに惹かれて観賞。なんて爽やかな青春物語なんだろう、凄く良い。それでいて自分の好きなものとの向き合い方についても改めて考えさせてくれる素晴らしい映画体験だった。

学校を舞台にした青春物・部活ものの映画のイメージとして、気になるあの子をきっかけに入部したもののいつしか真剣に部活に打ち込むようになっていくタイプの作品や、きっかけはともかく周りを巻き込んで皆で頑張っていくタイプの作品があると思う。でも本作は皆で同じ部活に入ったり同じ目標に向かって頑張るのでは無く、周りを気にせず直向きに自分の好きなもの(クライミング)と向き合っている小寺さんを見て影響を受けた数名の登場人物たちが、それぞれ自分の好きなことで頑張る物語だったのが新鮮でとても良かった。

「ボルダリングはやってて褒められるのか?」と問われた小寺さんが「大会で勝ったり難しい課題をクリアしたときは褒められるけど、それ以上に何度も挑戦して登れた時が一番嬉しい」と返すシーン。上述したように "何故それが好きなのか?何故好きなことを続けているのか?"と、"好きなこととの向き合い方" について改めて考えさせられる。

私自身に置き換えるなら、ここ数年映画を観ることにハマっているけれど、周りになかなか趣味が合う人が居らず(映画好きでもなかなか趣味の合う人がいないので)感想を共有出来ないことに満たされなさを感じることもよくある。それなのに何故映画を見続けているのか?と問われるたら、勿論観た映画について誰かと感想を共有出来ることには喜びを感じるし満たされもするけれど、それ以上に何よりも劇場で素晴らしい映画と出会えた時の喜びが一番大きいからなのだ、ということに改めて気づかされた。

何事も初心に帰って、純粋な気持ちで好きなことを一生懸命楽しみながら頑張れば、人生良い方向に進んでいけるのかもな、と思えた非常に有意義な映画体験だった。

2023.12.17 / 3回目の鑑賞 /スコア : 4.2
千里

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