ムラセユウシ

のぼる小寺さんのムラセユウシのレビュー・感想・評価

のぼる小寺さん(2020年製作の映画)
3.8

とあるきっかけで1年前からハロープロジェクトが好きになって、アイドルとしての工藤遥を知った。女優としての活動は追えておらず、今回初めて女優としてスクリーンの中にいる工藤遥にすごく感動したし、運動神経や自然な笑顔、小寺さんの真っ直ぐな性格が本人にそっくりなので、初めて工藤遥を見る人にも小寺さんを通して彼女自身を知ってもらえるなと思った。

映画を見ながら頭の中にやたらとあるつんく♂の歌詞が流れていた。
それはハロープロジェクト20thで作られた『Yeah Yeah Yeah』という楽曲の中で歌われる「誰かのものではないはずだったのに 線とか引いてる」という歌詞。
この曲が大好きで、特にこの歌詞の部分についてはどんな意味なのかあれこれ考えた。
結論「無意識に自分と他人との間に引いてしまう線」のことだと思った。
あの人はこういう人だから自分とは合わない、なんだか感じが悪いから話したくない、きっとあの人は自分のことが嫌いだ。元々なにもなかったのに、知らず知らずのうちに線を引いて、自分から人を遠ざけてしまう。
小寺さんに魅了されていく人達は、小寺さんを通して、その線をなくしていくように見えた。
例えば倉田さんは川で小寺さんに会わなかったら、この先ずっと小寺さんと話さなかったと思う。学校をやめていたかもしれない。
それは学校では線を引いてしまうからだ、自分とは違うと決めつけたりして。
四条も小寺さんとボルダリングを通して勝手に篭っていた世界から出た。
そして近藤もまたその1人だ。

自分の高校時代を思い起こすと、線を引いてばかりだった。図書室には行かない、美術部は地味だ、なるべく運動部とツルみたい。
自分の見え方ばかり気にして、線を引いて多くの出会いを失ってしまったのだろうと思う。

映画を見ながらそんなことを思って悔しくてたまらなかった。
ムラセユウシ

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