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スパイラル:ソウ オールリセットのLocDogのレビュー・感想・評価

2.0
「SAWのテーマをうたってみた」


SAWシリーズ、なんやかんやで9作目になる。

1作品にあたり5回ほど生死をかけたデスゲームを行ったとして、実に45個にも及ぶトラップを作ったことになるのだ。

歯車にチェーン、ワイヤーを駆使したその仕掛けはもはや芸術品で、犯人の想像力には毎回驚かせられる。

今回は舌チョンパゲームに、指チョンパゲーム、背骨チョンパゲームに、ガラスの破片飛ばしゲーム、鷲巣麻雀の血液を賭けたデスゲームという5本立て。

ゲームの参加者のやる気はいつにも増して高く、迷いがない行動にはもしかしたらという希望を見せる。

が、今回の難易度はRTA走者でしかクリアできないであろう設定になっており大変鬼畜である。

この感覚は、SAWのヤンデレキャラクターの”アマンダ”を彷彿とさせる。

さて、タイトルの”スパイラル”というのはジグソウの相棒の”ビリー人形”に描かれた特徴的なぐるぐるほっぺからとったマークなのか、ぺろぺろキャンディのぐるぐるした模様のどっちかからきている。

現場に必ずスパイラルのぐるぐる模様を残していくのだが、その数は後半になるにつれて増えていき、最後は壁一面ぐるぐるマークいっぱいに。

犯人は相当な”かまってちゃん”である。

本作は「スパイラルの犯人は一体誰なんだ」といった名探偵コナンのように犯人当てゲームをするストーリーに仕上がっており、スタンダップ・コメディアンであるクリス・ロックが本作のコンセプトをライオンズゲートに持ち込んできただけに、SAWシリーズではなかったジョークがちょこちょこと会話に挟まれている。

また、彼が好きなのか知らないがところどころR&Bのような曲が流れ、今までのシリーズの空気感とは違った印象を受けるだろう。

変更箇所はあるものの、SAWシリーズではおなじみのブタマスクに、SAW3の腐ったブタさんの登場、SAW1の伝説のアイテム、ノコギリにファンなら楽しめるかもしれない要素が散りばめてある。

が、そういった変更箇所がおもしろかったかといわれると疑問である。

そもそもミステリー調であるのなら、醍醐味である追い詰めたり、追い詰められりといった展開が必要だ。

ところがいつもと同じように、まんまと一方的に追い詰められるばかりのドSプレイであるため面白みがないのだ。

また、なぜ犯行を行ったのかといった動機もSAWシリーズをみているものなら察しがついてしまうのも減点ポイントであり、ギミックの面白さもSAWオリンピックをするなら下位争い間違いなしの出来で、褒めポイントはキャストの豪華さだけに留まってしまった。

ブタ人形シリーズとして新たな幕開けになったが、このスタートは非常に雲域が怪しいだろう。

このシリーズの評価は、ジグソウの模倣犯というやり尽くされたネタを”ハリウッドザコシショウ”のようにあえて飽きるまで何度も繰り返すというギャグ精神を我々はどうみるのかで変わるのかもしれない。

そしてなぜ歌ったのか、そこが最大のミステリーであった。
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