ラグナロクの足音

悲しみが乾くまでのラグナロクの足音のレビュー・感想・評価

悲しみが乾くまで(2008年製作の映画)
4.0
やはりビアは洞察力が抜きんでている。この頃デルトロは渋かっこいいねえ。最近は浮浪者にしかみえないというのに。主人公オードリーは、夫のブライアンと二人の子供に囲まれ、平凡だが幸せな日々を送っていた。しかし、悲劇は突然やってきた。ブライアンが事件に巻き込まれ、射殺されたというのだ。葬儀の準備に追われる中、ふいにオードリーは、夫の親友ジェリーのことを思い出す。ジェリーはブライアンの幼馴染みで元は弁護士だったが、今ではヘロインに溺れ堕落した生活をしていた。周囲がみな彼を見放す中、ただひとりブライアンだけが、親身に世話を焼いていたのだ。夫が大切にしてきた友情を無視出来ないという思いから、ジェリーを葬儀に呼ぶオードリー。やってきたジェリーは、すぐに子供たちと打ち解ける。初めて会ったはずの子供たちのことをとても良く知っているジェリー。生前ブライアンが話してくれたのだという。それまでは彼を嫌っていたオードリーだったが、自分と同じように夫を理解し、愛してくれていたことを知り、親近感をもつ。葬儀が終り、日常に戻ったオードリー。しかしそれは、ブライアンという大きな存在を失った日常だった。喪失感に苛まれ眠れない夜を過ごすオードリー。子供たちにさえ、つい八つ当たりをしてしまう。「この悲しみはひとりでは支えられない。私には誰かが必要だ…」そう思い立ったオードリーは、ジュリーを訪ね、しばらくの間自分の家に住まないかと提案する。その日暮らしの自分の境遇を哀れんでるんだろうと断るジェリーに、オードリーは言う。「違うわ、助けて欲しいのは私のほう」こうして奇妙な共同生活が始まり、ジェリーは、夫や父親を失ったオードリーたち親子の淋しさを少しでも埋めようと、自分を変える決意をする。不器用ながらもオードリーを慰め、子供たちとも心を通わせる。ヘロインと縁を切るために、断薬会にも通い始めた。そんなある日、娘が行方不明になるという事件が起こると、オードリーはパニックに陥る。以前ブライアンから聞いていて居場所の心当たりがあったジェリーは、無事に娘を見つけ連れ帰る。安堵するオードリーだったが自分も知らないことを知っているジェリーに対して、嫉妬をおぼえる。気が付くと子供たちは自分より、彼を慕うようになっていた。ついにオードリーは、ジェリーにこの家を出ていくよう告げる。
ラグナロクの足音

ラグナロクの足音