tetsu

破壊の日のtetsuのレビュー・感想・評価

破壊の日(2020年製作の映画)
-
元町映画館の狼蘇山三部作一挙上映で鑑賞。

禍々しい怪物の出現から7年。謎の疫病のウワサが蔓延する世界で、災いを祓うため、即神仏になろうとした男がいた……。

上映時間16分の前作『狼煙が呼ぶ』に続き、MVあるいはイメージビデオに近い手触りの中編。

それゆえ、ストーリー性を重視する人間としては1時間弱が長く感じたけれど、そもそも監督が自身の表現を突き詰めるために製作したアート系or実験映画の枠組みのようにも感じたので、もはや、採点不能。

正直、通常の映画としてはどうなのかとも思うし、捉え方次第で1点にも100点にもなる内容ではあるので、感想には困るが、『プラネティスト』(監督が手掛けたドキュメンタリー作品)同様、"自然の映像+環境音+音楽"への作り手の並々ならぬこだわりを感じたので、映画館で観る価値は大いにあったとは思う。

白黒の冒頭→高速から撮影したクイーンエリザベス号→国立競技場爆破の瞬間分速はハンパなかったけれど、以降は若干、失速した印象も……。

ただ、終盤、血だらけで叫びながら、スクランブル交差点を闊歩するマヒトゥ・ザ・ピーポーさんは、監督の撮りたい画が爆発していて、嫌いではなかった。(「普通に一般人、ビビるやろ」と内心ツッコミながらも。笑)

木棺であがき苦しむ男の様子に、外出自粛生活を生きてきた数ヶ月前の自分たちの姿が被るように、当時の社会を反映した破滅的描写も多く、"コロナ禍の作品"としては存在する価値はあると思った。
tetsu

tetsu