ラジオというのは声なき声を拾い上げるものだから。
この時代では例えば黒人。タイムリーな話題ということもあり、ドキッとした。
声なき声を拾い集め、資料を漁り、ときにはよく動くその足で稼いで真相に迫る。そうして辿り着く、その夜の結論。
翌朝、日の光の下では失笑ものでも。夜が明けるその前にーー。
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「そういう人達に『貴方だけじゃない』って言いたいのよ」「『貴方は間違ってない』って語り続けたいのよ」。(『波よ聞いてくれ』より)
私の好きな台詞、ラジオの好きなところ。
二人はまだその前、何か探している最中で。
ほんの一夜、バスケットボールの試合の間。まさに駆け抜ける。長い人生、想像もつかない未来の中にあっては束の間。そのライブ感。
(逆に言うと最後の約5分間は、もはや無くてもアリだった。SF映画というより、青春映画の範疇に入っている。)
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ラジオものらしく、会話が推進力。冒頭「いつまで?」と思うくらいずっと喋り続けている。
この前の霜降り明星のオールナイトニッポン0を思い出した。ずっとポケひみ、初速のまま最後まで走り抜ける。
(ラジオってそれでいけちゃう部分があるからな。)
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時間も場所も限定されたローカル感が、金曜日の夜にアマプラで観るのにちょうどよかった。
怖い話とか奇妙な話って、結構これくらいの規模感よね。「友だちのお姉ちゃんの彼氏が……」くらいの。
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リスがネズミがコウモリが……のくだりが好き。
明かりがついていたり喋っていたりすると気がつかなくても、ふと暗闇の中に身がおかれたときゾッとする。目には映らない、動くものたち。「これから見ることができる」ものの多さに怖れを抱く。
あっ、“vast”の感覚だ。
ちょっとピンチョンみがあるのも好み。
電話網、パラノイアとか。
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そういえば、やたらとメガネ率が高かった。Zoffが協賛か?というくらいメガネだった……。