カタパルトスープレックス

エルのカタパルトスープレックスのレビュー・感想・評価

エル(1952年製作の映画)
3.7
ルイス・ブニュエル監督のメキシコ時代の代表作の一つです。濃淡はありますが、ちゃんとルイス・ブニュエル監督の特徴である1)笑い、2)不条理、3)変態が全て入っています。

ストーリーは簡単。めっちゃ脚フェチの資産家フランシスコが脚がキレイな女性グロリアに惚れて、結婚するんだけど、嫉妬で狂う話です。とてもシンプル。

1)笑いの要素(🤔)
笑いの要素はあまり多くないです。それでも、少なからずありますけどね。

見所はフランシスコの変態さんぶりでしょう。グロリアが好きすぎていろんな妄想してしまいます。そして、その妄想でグロリアを責める。グロリアは身に覚えがないことで責められるのでたまったもんじゃない。でも、脚を見て許しちゃったりする。ごめんよ!グロリア!ごめんよ!グロリアはフランシスコが脚フェチなのを知らないから、なんで急に許したのかもよく分からない😂😂😂

この笑いの対象としての「😍好きすぎ男😍」は遺作『欲望のあいまいな対象』(1977年)のマテオが完成形だと思います。グロリアはもっとツンデレしてあげればよかったのに!

2)不条理の要素(🤔)
不条理の要素も少ないです。むしろ狂気ですね。フランシスコの狂気によって置かれたグロリアの状況は不条理と言えなくもない。ルイス・ブニュエル監督が本当の不条理を獲得するのってメキシコ時代でも後期の『皆殺しの天使』なんだと思うんですよ。そして、フランス時代で一気に花開く。

初期の『黄金時代』もそうなんですが、「狂人の夢」というか妄想。まだその域を出てないんです。

3)変態の要素(😍😍😍)
本作は変態の要素は満載です!いきなり神父が洗足式で少年の足にキス。これがエロい!もちろん、フランシスコは脚フェチの筋金入りの変態です。まあ、彼の場合、脚フェチ以外の要素は変態というよりは、病気と言えなくもないですが。

たぶん、ボクのルイス・ブニュエル監督作品の評価軸は一般的な評価軸とは随分違うと思います😅