ホリエッティ

二重のまち/交代地のうたを編むのホリエッティのレビュー・感想・評価

4.0
新しい形のドキュメンタリー。語る→聴く→語り直すの丁寧なサイクル。そのときに読み上げられるテキストはアーティストの瀬尾夏美によるもの。そのテキストも現地の人から語られたものを聴いてつくられたものと思われる。
語る場面をそのまま流せばいいのでは、という意見がでそうだ。そう津波の映像を流すように。だがそれだけでは伝わらない。あまりにも他のだれかを傷つけてしまう可能性がある。何より10年も経過してしまったことが大きい。この語り直しをドキュメンタリーとすることに意味がある。しかし、この語り直しは翻ってフィクションの力なのではないのだろうか。

想像してほしい/できない/でもする、とこの映画内の4人も逡巡する。

弁当屋のシーンで、ひとつひとつ言わないと伝わらない人とひとつ言ったら全部分かってくれる人もいる、人それぞれだね、といったことを話すシーンがある。弁当を詰める手伝いの話だけど、それだけでない意味も感じてしまってジーンとしてしまう。