雷電五郎

ザ・コールの雷電五郎のレビュー・感想・評価

ザ・コール(2020年製作の映画)
3.9
「THE CALLER」(邦題:恐怖ノ黒電話)の韓国リメイク版スリラーです。
原版がホラー要素が強い内容であったのに対し、こちらはスリラー要素が強く、物語により惹きこまれるようなドラマを付加していて大変面白かったです。
元の映画は邦題がちょっととっつきにくいのも難でしたね…

原版が終始犯人役を狂気的で偏狭な人物と描写し、最後にしか姿を現さず、タイトルも「電話の発信者」を意味するのに対し、リメイク版ではソヨンとヨンスクの間に親密な相互交流が生じることで中盤までは時間軸を超えた女性同士の友情物語と思わせてから、展開を一気にスリラーに一転させる落差のインパクトが素晴らしくて釘付けになります。

また、ソヨンの家族間の問題を絡めることで一層ヨンスクとの対比がエグくなり、最初はヨンスクに同情してしまう作りも巧妙です。義母の言葉通り、大勢の人間をあやめることになる中盤以降のヨンスクは憎たらしくて恐ろしく、ソヨンが彼女が助かるよう注意を促したことが正しかったのか悩ましくもなります。

過去の書き換えが起こるシーンのCGもみごたえがあり、最後までハラハラしながら観ることができましたし、ラストに上げて落とすのは勘弁して欲しかったです(笑)

原版の作品も不穏な雰囲気とゾクッとするラストが好きでしたが、リメイク版は物語の緩急が巧みで2人のやりとりに緊張感がありとても楽しめました。
ソヨンのお父さんが消えてゆくシーンとお母さんが体を張って子供ソヨンを守ろうとするシーンはちょっと泣けましたね…泣きのシーンをうまい具合に入れてくるのがグッと惹きこまれますし、悲しみの演出に至るまでの物語上での説明もしっかり成されていて説得力がありました。
しかし、ヨンスク役の俳優さん、すごくハマり役でしたね。

とても面白かったです。
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