くう

水を抱く女のくうのレビュー・感想・評価

水を抱く女(2020年製作の映画)
3.1
オンライン試写。

結果、このウンディーネの「夫」はあっちだったの?

情念強すぎる人たちの現代版御伽噺。太古の神々は大抵恋が大好きで自分勝手で恐ろしい。

水と陸の分断と、ドイツの分断の歴史を絡めて語られるのが面白い。「流れには乗るが元に戻る」

他のユーザーの感想・評価

オンライン試写会にて。水の精霊ウンディーネの神話を基に、現代ベルリンを舞台に描く哀しい宿命をもつ女の物語。

映画自体短く、ストーリーはシンプルだ。「音」が物語の緊張感やミステリアスさを際立たせている。それゆえに劇場の音響で観た方がよさそう。水の音、電車の音、バッハのコンチェルト。恐怖や不気味さ、不安な感じが終始音として漂っていた。

ベルリンという都市の持つある種の冷たさや暗さが感じられ、この作品の仄暗さとマッチしていたと思う。
原題を見ると、なるほど…。しっとり水分をたたえた愛は水の星座にはたまらない。ウンディーネという水の精霊ということから離れて、現代ドイツにいる女性だとすると、蠍座かな魚座かな。蠍座だな。love or die が良い。
パズルのピースがはまるように新しい恋人に没頭するウンディーネが美しくて悲しい。90分が短い。もっと溺れさせてほしかったという気持ちもある。
tomoco

tomocoの感想・評価

3.5
水の精霊ウンディーネの神話を下敷きに、現代のベルリンを舞台に語られる美しくも哀しき愛の物語。

モチーフとなる水の描き方が斬新。光と影、うねるような動き、息づかい、心臓の鼓動まで聞こえるような、まるで生き物のように生々しく迫ってくるさまに畏怖の念すら感じて圧倒された。
流れる涙、潜水服、ナマズ。揺蕩うピアノの旋律が繰り返されるたび水が忍び寄る。水の精は全てを愛に懸け、失われた時には全てを奪い去る。それでも愛している、それが全てだから。水の神秘性も不気味さも味わえる、幻想的な物語でした。
テラジ

テラジの感想・評価

3.6
『水を抱く女』水の精霊ウンディーネの神話と現実が融合していて、深淵なラストまであっというまでした。いつから、彼女は水に導かれてしまったのか…不思議な御伽噺やラブストーリーのようだけれど、不滅の愛を感じました。オンライン試写にて
Michacha

Michachaの感想・評価

3.3
なんの予備知識もなく観た感想は何だかよくわからないな~だったけど、ウンディーネという神話について教えて貰って理解できた。
話とは関係ないですが、劇中のある1場面を切り取ったポスタービジュアルのセンスが最高。
kottan

kottanの感想・評価

4.0
オンライン試写会で鑑賞。
ウンディーネの常軌を逸した愛情の深さや業の強さが言動の端々にこれでもかと現れていて、これが実在の女性であったなら怖いだろうと思う。精霊ウンディーネのイメージやエピソードの一つ一つが違和感なく現代劇に落とし込んであり、生々しさや凄みすら感じられる。面白かった。
Taul

Taulの感想・評価

3.0
『水を抱く女』オンライン試写で鑑賞。ダークファンタジーというにはあまりに生々しい愛の風景。「水の精」ウンディーネ神話がモチーフだと後で知ったが知的かつミステリアスな内容で面白い。社会派のクリスティアン・ペッツォルト監督らしくベルリンの歴史に絡めて複数の勢力の中で悲しく彷徨する魂の調べのようでも。

『水を抱く女』愛、歴史、ロマン...。『東ベルリンから来た女』で感銘を受けたクリスティアン・ペッツォルト監督。オープニングの別れのシーンから当たり前のように緊張感と品を感じるいいシーンの連続。パウラ・ベーアの凛とした佇まい、そして最高に味があるフランツ・ロゴフスキがまたも素晴らしい。

このレビューはネタバレを含みます

これまたオンライン試写にて、お先に観せていただきました。

「愛する男が裏切ったとき、その男は命を奪われ、ウンディーネは水に還えらなければならない」

ギリシャ神話を起源にした「水の精」ウンディーネの現代の物語。

先日観た『マーメイド・イン・パリ』は明るく、かわいい人魚姫のお話でしたが、こちらは大人の恋愛と情念をしっかりと描いた、ダークなファンタジー作品。

近作で水の精を扱った作品が2作公開されたので、どうしても比べてしまう・・・。
気持ちが楽しくなる『マーメイド・イン・パリ』を良く評価していたのですが、考えるまでもなくこちらが圧勝です。

私が芸術点を高く評価する傾向があるので、アート系作品が苦手な方には響きづらいかもしれません。
その点、ご了承ください。


BGMで繰り返されるのは。バッハの旋律。
ウンディーネが楽しい時も失意の時も、彼女を包むのはバッハの響き。
シンプルで洗練されていました。

表現しずらい感情が押し寄せるラストの演出も、ベルリン映画祭で女優賞をとったパウラ・ベーアの妖艶さも素晴らしかった。

終始、少し不穏な雰囲気が続きますが、1箇所だけほっこりするシーンがあり、気に入っています。

それは、ウンディーネと恋に落ちるクリストフが、湖?でおぼれたウンディーネに、ある歌を歌いながら、心臓マッサージするところ。

「Ah, ha, ha, ha, stayin’ alive, styain’ alive Ah, ha, ha, ha, stayin’ alive」

ビージーズの「ステイン・アライブ」はリズムも歌詞も心臓マッサージにぴったり!
なんですが、急激に緊張感がほぐれて笑ってしまいました😊
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それにし
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