しちれゆ

セイント・フランシスのしちれゆのレビュー・感想・評価

セイント・フランシス(2019年製作の映画)
3.7
最近多いですね。冴えない大人が小憎らしい子どもとの交流で自分の人生の新たな一歩を踏み出す話。

冴えない大人にはブリジット34歳。安易なセックスで妊娠、中絶、中絶の不具合でだらだらと続く出血、けど、またぞろ惹かれる男(クズ男)が出てきて、誘いをかけて出血が続いてるのにもかかわらずセックス。
小憎らしい子どもにはフランシス6歳。両親はレズビアンカップルで、一方(ヒスパニック?)をマミィと呼び他方(アフリカン)をママと呼び、けどどちらも実の母ではないという複雑な環境。フランシスは自分のうちはよそとは違っていて、その違いはあまり歓迎されるものではないことを感じ取っている。
そんな2人が出会って次第に打ち解け、心を許していく。互いが互いの風穴(かざあな)となったのだ。

ある日、マミィが赤ん坊に公園で授乳しようとしたとき、ひとりの女性が「トイレでやって。出かける前に対処出来たはず」と言ってくる。白人、異性愛、真っ当な子育て。この女性はマジョリティの体現者として強く印象に残る。この時のフランシスの切り返しは見事。

フランシスが新学期(小学校入学)を迎えるところで物語は終わるのだが、彼女を何故″聖フランシス″と称するのかは今ひとつモヤモヤ。告解ごっこしたからってそんなに?

そして、この映画によって中絶がいとも簡単なことであるかのように思われることを危惧します。受精卵だって大切な命、などと言うつもりはないけれど、女性には自分の心だけでなく身体も大切にしてほしいと思う。
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