バリカタ

セイント・フランシスのバリカタのレビュー・感想・評価

セイント・フランシス(2019年製作の映画)
4.0
重いテーマを軽やかに描き、ラストは清々しい。

僕は男性だからこの作品で描かれる「女性ゆえ」味わうさまざまな感情の全てに「あるある!」て共感することは難しいですが、性別関係なく目に見えないプレッシャーとか生きづらさ、自信の持てなさってあると思うのです。それは、どこかの誰かの集合体が作り上げているであろう「世間の常識」だったり「俗に言う“普通は”」ってことで生成される「枠」にはまっていない場合に。

そんな時、きっと自分は自分なりに頑張るものの、ズレを感じるたびに焦ったり、自分自身を卑下したり、どーすりゃぁいいんだー?ってなっちゃうと思うのです。周りを気にしない、自分自身で居ればいい・・・といろんな啓発本には書いてあるものの、許しているようで「例の枠」の尺度にはまっていなければ世間はなかなかどうして、受け入れてくれなかったり、なんだったら下に見たりとか・・・。

まぁ生きづらいですよね。「枠」からはみ出ちゃうと。
さらに女性の場合は男性以上に大変な事情があると思います。本作ではそのセンシティブな部分をズバっと!大胆かつ明確に表現していたと思います。

しかし、どんな場合でも、人間を貶めるのも人間で、救うのも、きっかけを与えるのも人間なんですよね。そのためには知らない世界を見る機会を作らないとならないのかもしれません。やっぱり出逢いって大切だよなぁと。相手が大人だろうが、子供だろうが。出会うことで「自分らしく」生きれる何かを見つけることができるのかもしれません。何気に本作はテーマが重いんですよね。けど、ゆっくりとかつ着実に主人公のブリジットの横に寄り添いながら進むストーリーはとても心地よく、癒されていく感じすらあります。そして、ちょっとした爽快感も。フランシスとの関係性は見ていて和みます。

誰も彼も、ブリジットの気持ちのいくつかは持っていると思います。ですから日々、もやもやしちゃってる人は本作を見て、束の間ではありますが自身を解放しちゃいましょう。