こうん

セイント・フランシスのこうんのレビュー・感想・評価

セイント・フランシス(2019年製作の映画)
4.4
こんなに経血があけっぴろげに映される映画も珍しいのではないでしょうか。
ただそれが珍しいと思うのは男だけで、個人差こそあれ彼女たちには日常茶飯事。僕は男なんで実感としてはわかり得ないけど理解は深めたいと思い、妻とも月経について話すことが増えました。けど男の無神経さはゼロにはならず怒られることもしばしば、日々精進です。
…ということを思いながら、さまざまの立ち位置で人間関係の孤独と社会からの孤立と悪戦苦闘しながら近しい人を愛することに一生懸命な女性たちの物語を浴びて、なんかきれいなものになった気がします。
同性愛であるとか高齢出産とか中絶とかさまざまの繊細な描写に「ん?」ということがひとつもなくって、逆にそれらを肯定的にとらえ祝福する作り手のスタンスが心地よく、愚かではあるかもしれないけどなにひとつ間違ったことをしていない主人公ブリジットがささやかな理解を得たことで滂沱と泣くところではこちらももらい泣きしてしまいましたね。
人間は不完全であるがゆえに分断や不寛容の種は絶対になくならないと思うけど、それを前提でいかに生きるか、いかに近づくか、いかに愛するか、ということが丁度いい温度感(人肌)で描かれていて、そのナラティブが自然体で心地よかったです。
もっかい観たいなー。
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