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グリード ファストファッション帝国の真実のGreenTのレビュー・感想・評価

2.5
タイトル通りの映画です。

リチャード・マクリディ卿(スティーヴ・クーガン)は、イギリスのファスト・ファッション界で成功したビリオネア―、フィリップ・グリーンという人をモデルにしているのですが、この人のファストファッション・ブランド (Topshop, Topman, Miss Selfridge)って全然聞いたことないです。ジェネレーションの違いかな?

この映画を観る限り、主人公のリチャード・マクリディ卿は、ファスト・ファッションのショップを開業し、あちらもこちらも買い叩き、安かろう悪かろうで荒稼ぎをしては店を潰す、みたいなことを繰り返しているのに、銀行家と親しくなったりして融資を受け、さらに大きなファッション・チェーンを買い取る。そんで、そのチェーンが持ってる資産(店とか土地とか)をどんどん売っぱらって、自分だけ私腹を肥やし、丸裸になったチェーンを安い価格で他の人に売る。

私は商売全くわからないので、私の解釈は雑になっちゃいますけど、普通は資産を増やして、信用を得て、銀行から融資を受けやすくして、そのお金で新しいビジネスに投資して会社を大きくしていくとか安定させるってことですよね?

それをこの人は、現金にできるものはどんどん現金に換えてしまう。で、吸い取るだけ吸い取ったら売っちゃうって感じなんだけど、なんでこんな人を銀行も信用するのか、良く分からない。

またこういう人たちは、モナコなどの税金を払わなくていい土地に住んでいたり、とにかくズルできるものは全部している。

それと、昔っから言われているけど、貧しい国、この映画ではスリランカとかミャンマー?で洋服を縫っているんだけど、お針子さんは一日10時間働いて3ポンド(460円くらい?)しか稼いでないらしい。

ストーリーは、リチャード・マクリディが60歳の誕生会をエーゲ海ミコノス島で開催し、エゴ全開で各界の有名人を呼びまくったり、中東からの難民を見えないところに追い出そうとしたり、『グラディエーター』のテーマで、コロシアムのようなものを建設させているんだけど、こういう労働者たちも買い叩いていたり、またこの催しに本物のライオンを連れてくるんだけど、ライオンのことをひどく扱ったりするのが次々に描かれる。

まさに「金持ちってこうなんだろうな~」って最悪のケースの集大成って感じで、ベタ過ぎるとも思うけど、私はビリオネアってある程度いい人はいても、おおむねこんな感じなんだろうなあって思った。

映画としては、多分『バイス』みたいにしたかったんだろうなと推測するんだけど、テンポがガチャガチャで全くまとまりがなかった。スティーヴ・クーガンがほぼアドリブでギャグをかましていて、尊大なビリオネア―を表現しているんだろうけど、ほとんど面白いギャグはなかった。

しかしギャグに関しては、iMDbの投稿者の中に「アメリカ人にはわからない、イギリス特有のギャグ」って言っている人が多かったので、日本語字幕では面白いのかも。

私はファスト・ファッションは、余りに無駄が多すぎるので、経営方針を変えて欲しい。映画で描かれるように、貧しい国の人をこき使って、マテリアルも買い叩いて、とにかく大量に作っているけど、今やこの商法は通用しないよ。ものすごい数が捨てられているのになんでそんなに頑張って作る必要があるんだ?フォーエバー21なんて、リサイクルを持ってきたら15%オフ上げる、なんて言って、捨てなくていいものを捨てさせて、買わなくていいものを買わせようとしている。リサイクルなんて、「物を捨てる罪悪感」を感じさせないためのギミックに過ぎない。

私はファスト・ファッション買っちゃうし、だって他にチョイスないし。でも余りに安すぎて、どうやって利益を出しているのかわからないのに、経営者がビリオネア―ってことはなんかズルしているに違いないと思う。

・・・という私のビリオネア―憎し!を「やっぱり」って思わせてくれたのは良かったけど、作品としてはあまり面白くなかったです。
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