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グリード ファストファッション帝国の真実のmaroのレビュー・感想・評価

3.5
2021年日本公開映画で面白かった順位:87/127
   ストーリー:★★★☆☆
  キャラクター:★★★★☆
      映像:★★★☆☆
      音楽:★★★☆☆
映画館で観るべき:★★★☆☆

ドキュメンタリー風の映画。
主人公のリチャード・マクリディは、実在した人物をモデルとしている。
それは、イギリスでかつて大成功を収めたファストファッションブランド、トップショップを擁するアルカディア・グループのオーナー、フィリップ・グリーンだ。

映画は彼の関係者へのインタビューを交えながら、誕生日パーティーに至るまでの数日間をメインとしている。

マクリディは類稀なる商才でどんどん財を成していくのだけど、映画でわかるのは、とにかく徹底した値切りを行うこと。
もちろん、コストカットの観点から言えば、彼の行っていることは至極当然であるけれど、とにかく強引かつ傲慢。
言い方もケンカ売ってるとしか思えず、人としては最悪の部類じゃなかろうか。
絶対この人の下では働きたくない(笑)

相手に歩み寄ることはほぼせず、自ら提示した額に着地しないと、「じゃあいいや」と帰っていく。
そうされると、ほとんどの相手は呑んでしまうのだけどね。

特に裁縫工場の条件は悲惨で、ほぼ赤字に近い状態で請け負うことになるから、利益を出すためにスピードを上げねばらならず、それについていけない人は解雇されるしかないのだ。

世界中でセレブが愛用している高価な服は、スリランカなどの工場で、ミシンを使った手作業で作っているものも多い。
裁縫工場で働いている人の80%は女性らしいのだけど、その日当は2ドル〜3ドルだと、映画のラストで紹介されていた。

マクリディは自らの金儲けしか考えていないため、そんなことは知ったこっちゃないと言わんばかりに、自らの還暦パーティーにかける金は破格で、おそらく億は超えているだろうなあ。

そんな彼の傲慢かつ自己中なやり方が巡り巡って、悲惨な結末を迎えるのだけど、、、ちょっと間接的すぎて微妙だったかなー。

ラストの搾取する側とされる側の「分断された世界」は繰り返されていくというメッセージは興味深いものがあった。

気になるところはいくつかあるけど、マクリディというか、フィリップ・グリーンの人柄を知るにはいいかな。
でも、これは普通のドキュメンタリーで観たかったかも。
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