kei188

グリード ファストファッション帝国の真実のkei188のレビュー・感想・評価

1.4
重たいテーマ、エンドロールでも紹介されていましたが、世界の富豪の19人が持つ資産と39億人の貧困層が持つお金が同額。

ファストファッションで失敗と成功を繰り返して、なりあがってきたリチャード・マクリディのお話。実在の人物ですが、ストーリーはフィクションだと思われます。彼の少年時代から、晩年までのドダバタ偉人伝。苦労して成功をつかんだのは、ハイエナのような強奪ビジネス。会社を買収しては、つぶしてしまう。その繰り返し。資金調達は違法行為スレスレ。司法当局からもマークされ、裁判?事情聴取?も受ける。
起業家との一面と、縫製の委託先を買いたたく。日給が3ドルや4ポンドしかないスリランカなどの国々での労働搾取。搾取される側の今日を生きるのも精一杯の貧困の悲哀、搾取する側の強欲さと保身のための詭弁、その対比をブラックコメディで見せてくれます。

コメディであっても、まともに作れば面白く、感動する話にもなるんでしょうが、そうでもない。なぜなら、コメディの本質からずれていると思います。イギリスの映画です。イギリスらしい、シニカルなジョークがちりばめられています。でも、ちりばめすぎ。シニカルになっておらず、ストーリーからずれたコネタの嵐。

人物へのフォーカスの当て方がふらつきすぎ。リチャードの強欲さと弱い面、そこまではいいんですが、家族のバカさ加減も適当に突っ込んでいる感が満載。そして、搾取される側のエピソードもストーリーとはつながりますが、なんか弱い。

リチャードのそばで働くスリランカ人の女の子の絡みも、カタルシスにもなっていません。
もう少し練ってストーリーを作ってほしかった。

さらに虎の威を借るようなネタでドン引き。グラディエーターのパロディもそうです。そして、実名でちょっと出てくるセレブたち、キーラ・ナイトレイ、コリン・ファース、コールドプレイのボーカルのクリス・マーティンなどなど11名が本人役で数秒でてきます。U2のボノの出演はありませんが、新聞記事の写真で登場します。セレブのバカさ加減も演出でしょうが、あまりにばかばかしくて。

同時に劇中劇で進んでいく映画の撮影。ぼさーっと見ていましたが、本人の自伝映画なのでしょう。それもこのストーリーを散漫に見せます。

難民問題、社会主義から変化した東欧の国の労働事情、ギリシャ財政問題までてんこ盛り。格差を多く見せればいいってもんじゃない。

ライオンは共食いで終わるようで、終わらない。虎の威を借る、じゃなくライオンの威を借りるものではなく、威は脈々と引き継がれていく。弱者は弱者のまま、それだけ。根の深い社会問題を浮き彫りにしようという目論見は、映画として面白くなく、失敗だと思います。個人の感想。

2021年劇場ー58本目