てっぺい

タイラー・レイク -命の奪還-のてっぺいのレビュー・感想・評価

4.0
【見どころのアベンジャーズ】
クリヘムの臨場感たっぷりなガンアクション。自在なカメラワークの12分間圧巻ワンカット。少年と次第に心通わせる映画のあたたかさ。誰かと語りたくなるラストシーン。匂わす映画のメッセージ。見どころ満載すぎアベンジャーズ。
◆概要
Netflixで2020年4月24日から配信されたオリジナル映画。
出演:「マイティ・ソー」シリーズ クリス・ヘムズワース、「パターソン」ゴルシフテ・ファラハニ
製作:「アベンジャーズ」シリーズ アンソニー&ジョー・ルッソ兄弟
監督:「アベンジャーズ エンドゲーム」スタントコーディネーター サム・ハーグレイブ
原作:ジョー・ルッソによるグラフィック・ノベル『Ciudad』
◆ストーリー
裏社会の危険な任務を生業とする凄腕の傭兵タイラー・レイクは、ムンバイで誘拐された犯罪組織のボスの息子を救出するため、ギャングが支配するバングラディシュのダッカ市街地に向かう。敵のアジトに単身突入したタイラーは少年の奪還に成功するが、街中のギャングたちから猛追を受ける。
◆感想
合計何万発撃ってるんだというほどの銃撃戦。こと、12分間のワンカットアクションは見どころ中の見どころ。そんな死と常に隣り合わせのクリヘムが、救出した少年と次第に心を通わせていく映画の柔と剛。組織の末端だけが犠牲になっていく映画のメッセージも骨太。
◆アクション
まずは何と言ってもこれ。オノで戦うイメージの強い(笑)クリヘムの百発百中のガンアクションは爽快そのもの。それでいて、敵であろうが少年には銃を向けない正義の徹底ぶり。さらに12分間のワンカットは、ビルから飛び降り、車にはねられ、どんどん血まみれになっていく臨場感。加えて、インドの人波を車で走り抜けるドキドキ感、車の後追いから車中にカメラが入る不思議なカメラワークも、このシーンの臨場感に拍車をかけていた。最近でいうと、7分のワンカットアクションの『アトミックブロンド』、『1917命をかけた伝令』は全編擬似ワンカット映画として記憶に新しいけど、全く勝るとも劣らぬ迫力、没入感でした。

◆以下ネタバレ

◆柔と剛
そんな、映画の9割がアクションバリバリな中に、次第にオヴィと心を通わせていくタイラー。子供を亡くした彼の背景が次第に明らかになり、映画で唯一涙を見せたのはオヴィであり、オヴィと親子のような絆を築いていく姿があたたかった。橋の上で、最後の力を振り絞りオヴィを守るタイラーは、もうオヴィの父の姿そのものだったし、瀕死のタイラーに寄り添うオヴィにはもう涙。
◆ラストシーン
オヴィが水の中から顔を出すと、タイラーらしき人影があるオーラス。いわゆる“委ねる系”のラストだが、個人的にはあれはタイラーでいいと思う。タイラーのトドメを打った青年が橋の下を覗いても何もなかった映像表現と、オヴィが言った“溺れるのは川に落ちたからじゃない。そのまま沈むからだ”というセリフの伏線回収がその根拠だけど、もっと納得のいくサイトもあったのでご紹介まで。(https://theriver.jp/tyler-rake-ending-explained/2/)
◆末端
もう一つポイントだったのが、タイラーが一傭兵である事と、バングラデシュ側の少年たち。どちらも組織の末端であり、上からはいいように扱われる存在。橋の上という狭い現場での末端同士の殺し合いを、遠くの広い宮殿から悠々と眺める麻薬王という図式は、争いに対しての世の常を隠喩するような、もしくはアジアの裏実情を伝えているのか、そんな映画表現だったように思う。

ドキドキハラハラ、見飽きずに見れるし、心にじんわりくるあたたかさもある。ラストシーンも、その後の余韻に浸れるし、誰かとあれやこれや語りたくなるような、映画の良さがグッと詰まった一本でした。そしてこの時期に新作が見れる喜び。Netflixありがとう!

他にもレビュー載せてるのでよかったら↓
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